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【新春インタビュー】西日本鉄道・倉富純男社長(64) 変わらないことは衰退だ

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【新春インタビュー】
西日本鉄道・倉富純男社長(64) 変わらないことは衰退だ

 「地域に根ざしたグローバル企業」をコンセプトに、海外に出るだけでなく、訪日観光客にもしっかり対応する一年にしたい。

 海外はまず、東南アジアです。昨年、ベトナムとインドネシアで住宅事業が動き出しました。良い住宅を現地で提供することを目標に、さらに事業拡大を探っていきます。これから進出する候補として、フィリピンも勉強しています。

 ホテルも年間1、2棟ずつ仕上げていきます。現在、探しているのは、ベトナムと台湾です。今年中に、候補地を選定したいと思っています。

 国際物流事業は当社の大きな柱であり、間違いなく成長する分野です。(未進出の)中東とアフリカでの事業展開に向け、ドバイ(アラブ首長国連邦)に事務所を置き、情報を収集します。同事業の現在800億円の売り上げを、平成37(2025)年度に2千億円へ倍増させるのが目標です。

 国内事業では、インバウンド(訪日観光)客専用のICカード「ニモカ」を作ります。(バスや店舗など)どこでも気軽に使え、帰国時に払い戻しもできる。再び日本に来たときに使ってもらってもいい。日本らしいデザインにし、チャージの仕方を、海外の方にも分かりやすく伝えたい。

 自動車部門の努力によって、(九州のバスが乗り放題となる)「SUNQパス」がインバウンド客に浸透しました。海外での販売数の累計は、30万枚を超えました。このパスによって、細かいところまで路線バスを使う観光客が増えた。

 鉄道、バスの現場では英会話の勉強を始めました。会社として短期の語学研修制度を導入しています。今年は、長期研修もつくろうと考えています。

 ■街の整合性

 (福岡・天神の)大名小跡地の再開発事業は、入札参加の申請書類を提出しました。

 福岡市の要項をみると、人を育てる創造型の事業で、福岡の力を引き出す中身になっています。

 入札でどこが取るにせよ、シンボル的な場所になります。「明治通り」とのつながりをはじめ、街の中と整合するように、地元の会社がしっかり声を出すべきでしょう。

 切磋琢磨(せっさたくま)し、中央の論理だけじゃない提案が出てくると思います。

 (西鉄の本社が入る)福岡ビルの建て替えは、着工や完成のスケジュールを具体化し、「やるんだ」と、表明できる年にしたい。7年後くらいにできるイメージです。こちらも福岡の象徴になるべき場所であり、力を入れてやります。

 (国家戦略特区による)ビルの高さ制限の緩和を活用すれば、シンボル性が増すと思います。

 西鉄が手掛けるのは、福岡市内だけではありません。

 昨年、北九州市に事務所を設立しました。バス高速輸送システム(BRT)の導入へ、行政と情報交換を行っています。砂津(小倉北区)と、黒崎(八幡西区)を結ぶ路線を想定しています。

 北九州は高齢化が進んでおり、今踏ん張らないと、公共交通のない街になってしまう。

 久留米市など福岡県南地域も含め、各地で人が行き交うことが大事です。再開発が動く場所では、できる協力をやる。経済合理性を考慮し、駅や沿線を中心に都市機能が集約されるコンパクトさが、今後のまちづくりのポイントでしょう。

 ■次の100年へ

 西鉄は今年、創立110周年を迎えます。先輩が築いた財産や考え方を振り返り、これからも頑張ろうと確認する年です。

 前進に合わせ、会社の土台となる人材の課題に、しっかり手を付けたい。

 一人一人が、同僚や上司と同じ夢を持ち、一緒に事業をやり遂げる。社長になって5年ですが、ここがまだ弱いと感じています。

 「ポット3・0」というプロジェクトを作りました。「プロジェクト・アワー・トゥモロー」の略で、社員が自分たちの明日をつくろうということです。課長クラスの中堅16人を集め、人材や働き方について現場の声を聞き、課題を私に提言する。今秋までにとりまとめ、課題解決に取り組みます。先輩が明文化し、実践した企業理念を再度確認し、修正してやるべきことをやるのが、今回のプロジェクトです。

 西鉄はこれから50年、100年先もやっていく。支えるのは人材です。

 社員に「立ち止まって変化がないことは衰退だ」と言っています。華々しさはなくても、会社を変え、前に進むための基礎を固める。プロジェクトメンバーが、しっかり引っ張ってくれると思います。

  (高瀬真由子)