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障害者アート、三方よし 格好良さ広め、自立支援 旅館で展示、自販機装飾も 滋賀

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障害者アート、三方よし 格好良さ広め、自立支援 旅館で展示、自販機装飾も 滋賀

 障害者アートの魅力を発信し、制作者の経済的自立につなげようという取り組みが県内で盛んだ。県が料金を払って絵画などを借り、旅館に展示したり、工房が自動販売機の装飾に用いて売り上げの一部が還元される事業に参加したり。関係者は「多くの人に作品の格好良さを知ってほしい」と期待する。

 障害者アートは、フランス語で「生の芸術」を意味する「アール・ブリュット」とも呼ばれる。県内には制作施設が50カ所以上ある。

 「リンゴ、作るの」。湖南市の児童福祉施設「近江学園」で作家、西川智之さん(43)が粘土の塊と向き合っていた。卒業後も学園を作業場とし、国内外の展覧会に出品している。粘土に竹串で顔を描き、塊に貼り付けていく。「できた」。小さなウサギがぎっしり乗った「りんご」が完成した。

 西川さんの作品は長浜市の「旅館紅鮎」に飾られている。県の展示事業の対象施設の一つ。旅館紅鮎の山本享平さんは買い取りも考えているという。「作家にとってはより多く収入が得られ、こちらとしても自由に飾ることができる」と話す。湖南市では市内在住の作家から絵画を買い取り、平成27年からふるさと納税の返礼品に導入している。

 約80人の通所者が制作活動をしている甲賀市の「やまなみ工房」は、作品でラッピング装飾した飲料の自動販売機の設置場所を募集している。日本財団の「夢の貯金箱」事業を活用し、売り上げ1本につき約10円が還元される。自販機が増えれば現在約1万円の月給をベースアップできるという。

 各地から問い合わせが相次いでいるといい、やまなみ工房の職員、戸田理恵さん(39)は「全国に置かれた自販機が、作品の格好良さを知ってもらうきっかけになり、ファンが増えれば障害者の自立につながる」と期待している。