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大阪・千里中央の大型商業施設“歌を忘れた”セルシー、1年以上ライブできず

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大阪・千里中央の大型商業施設“歌を忘れた”セルシー、1年以上ライブできず

 若手歌手の登竜門として知られる豊中市新千里東町の大型商業施設「セルシー」の耐震性に問題があるとして、多くの歌手が利用してきた1階セルシー広場で、1年以上にわたり、ライブ活動などが開催できなくなっていることが、関係者への取材で分かった。所有者側はすでに建て替えを検討することをテナントに説明しているが、詳細は不明で、市民からは「若手歌手のライブはなくなるのではないか」と不安の声が上がっている。

 セルシーは、北大阪急行と大阪モノレールの千里中央駅前にあり、昭和47年にオープン。地上6階地下1階、延べ床面積約6万5千平方メートルで、1階に約千平方メートルのセルシー広場がある。若手歌手がレコードやCDの販売促進のために曲を披露したり、握手会を開催したりしたほか、各種イベントや民放の公開放送も行われた。広場には現在もステージが設置されている。

 しかし、管理会社の阪急阪神ビルマネジメントによると、所有者側の会社から「建物の耐震性に問題があり、広場を外部イベントに貸し出すことをやめる。多くの人が集まるイベントは受けられない」との方針が示された。広場は一昨年11月上旬に車の展示会が開催されて以降、外部に貸し出されていない。管理会社の担当者は「いつまでなのか分からない」と話す。一方、所有者側の会社は「守秘義務があるので回答できない」としている。

 管理会社によると、広場は、歌手らが利用する場合、数カ月前に予約する必要があるほどの人気で、イベントの開催時間は数時間に及んでいた。イベントは観覧無料で、ファンだけでなく、買い物客らが見物できることも魅力だった。

 セルシーの建物は、平成25年に施行された改正耐震改修促進法に基づき耐震診断。豊中市が昨年3月に公表した診断結果では、「震度6強から7の地震で倒壊、または崩壊する危険性が高い」とされた。

 関係者によると、所有者側はテナントに対しこの診断結果を伝え、昨年8月と9月の2回開かれたテナント説明会で、「商業をメインとした新しい施設に建て替えることを検討している。5年先、10年先ではない」と話したという。テナントはかつて約100店が入っていたが、二十数店に減少している。

 市民団体「千里ニュータウン研究・情報センター」代表で、セルシーの歴史に詳しい太田博一さん(69)は「もともとセルシーはレジャーセンターとしてつくられ、その目玉がセルシー広場。耐震性の問題があるのは分かるが、イベントをやめてしまうのはどうか。セルシーの近くで小規模な形で行う方法もある。建て替えがどうなるか不透明な中で、イベントを取りやめれば、広場での若手歌手の活動は自然消滅してしまう可能性もある」と危機感を募らせる。

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【用語解説】セルシー広場

 豊中市が平成27年に発行した冊子「ぶらり千里」によると、大橋純子、石川秀美、岩崎宏美、河合奈保子、西村知美、松浦亜弥、後藤真希、倉木麻衣、氷川きよし、矢井田瞳ら多くの歌手が出演。また光GENJIや、AKB48、きゃりーぱみゅぱみゅもステージに立った。東京のサンシャインシティ噴水広場とともに、若手歌手の登竜門として知られた。