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熊本復興元年 知事「新年は『創』の年に」「期待より前に実態を提供」

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熊本復興元年 知事「新年は『創』の年に」「期待より前に実態を提供」

「平成30年は『創』の年にしたい」と述べる熊本県の蒲島郁夫知事 「平成30年は『創』の年にしたい」と述べる熊本県の蒲島郁夫知事

 熊本は今年、熊本地震からの復興の道のりを、着実に歩んだ。蒲島郁夫知事は、復興元年と位置づけた1年を「期待が膨らむ前に実態を提供できるよう心がけた。なるべく早め早めに」と振り返った。

 蒲島氏の言葉は、ハーバード大時代の恩師サミュエル・ハンティントン氏が唱えた「ギャップ仮説」に基づく。変化する期待に、実態が追いつかなければ、人々の間で不満が高まる-という理論だ。不満が高まれば、地域の一体性が崩れ、復興がより遠ざかる。

 県は「住まいの復興がないと、心の復興ができない」(蒲島氏)と、住宅再建を最重視した。8月末に、住まい再建へのパッケージ支援策を発表した。

 そこでは、土地・建物を担保に返済を軽減する「リバースモーゲージ制度」を活用した自宅再建や、賃貸住宅へ引っ越す際の、初期費用の助成などが盛り込まれた。

 インフラ復旧も、政府の支援を受けて加速した。阿蘇方面へのアクセスでは、8月末には長陽大橋(南阿蘇村)が復旧した。斜面崩壊で通行不能となっている国道57号と国道325号も、平成32年の全線開通との目標が示された。

 「仕事の再建」では、国のグループ補助金活用を呼びかけ、震災関連の倒産件数を16件に抑えた。

 被災した鉄道事業者を対象に、復旧費の97・5%を国が実質的に負担する制度もでき、南阿蘇鉄道に適用されることになった。安倍晋三首相が「被災地の復旧復興に向け、先手先手で、できることはすべてやる」と強調した通りだ。

 蒲島氏は新しい年について「復旧・復興プランに示したやるべきことを、さらに加速させる。『創造的復興』を地域発展につなげ、人口減少に対応する地方創生も同時に進める『創』の年にしたい」と述べた。

 震災復興を後ろ向きにとらえるのではなく、成長の原動力とする新たな試みに期待したい。(南九州支局 谷田智恒)