産経ニュース

【年の瀬記者ノート】市川市長選再選挙 虚脱感と高揚感が交錯

地方 地方

記事詳細

更新

【年の瀬記者ノート】
市川市長選再選挙 虚脱感と高揚感が交錯

 選挙の年だった。私は県北西部を担当しているが、3月に知事選と浦安市長選。5月に八千代市長選。6月に船橋市長選。10月に衆院選。そして11月には市川市長選が行われた。

 市川市長選に立候補したのは、いずれも無所属新人で、元衆院議員の村越祐民氏(43)=民進、共産、自由、社民推薦、元市議の高橋亮平氏(41)、元県議の小泉文人氏(44)、元県議の坂下茂樹氏(43)=自民推薦、元衆院議員の田中甲氏(60)の5人。顔ぶれを見て「これは再選挙になるかもしれない」と予測した。

 5人は政治家としての実績や人脈、地盤、政策構想力がある。一定の票を獲得するだろう。逆にいえば、突き抜けた候補者はいない。得票が分散して、法定得票数(有効投票総数の4分の1)に達しない場合、公選法に基づき、再選挙が行われる。

 投開票日の11月26日夜。私は選挙戦を優位に戦ったある陣営の選挙事務所にいた。午後10時から30分ごとに市選管が中間発表を行う。駆けつけた支援者たちは情報が入るたび、一喜一憂する。予測通り、票が分散した。深夜になっても「当選確実」の一報が入らない。朝刊の締め切り時間が刻々と迫る。取材する記者たちがつぶやく。「しびれるね」「しびれますよ…」

 翌27日午前0時5分、開票結果がようやく確定した。5陣営が有効投票総数(11万9078票)の4分の1に達せず、再選挙が決まった。首長選の再選挙は極めて珍しい。全国6例目。私の長い記者歴(昭和50年入社)でも初めての体験だ。選挙事務所は虚脱感と高揚感が交錯したかのような異様な雰囲気だった。

 さて、市川市長選をめぐるドラマには第2幕があった。11月29日、元市議の石崎英幸氏が市長選と市議補選に不服があるとして市選管に異議申し出を行った。

 石崎氏によると、市長選に関しては開票現場で、ある候補の票の束の中に別の候補の票の束(1千票)が混入しているのを立会人が見つけた。また、同時に行われた市議補選で数千票の投票用紙が開票現場から移されるなど不可解な動きがあったという。

 市選管は12月8日、異議申し出について審議。申し出人に立ち会いを求め、投票用紙を再点検することを決定した。だが、日程と会場は未定。再点検は越年必至の情勢だ。注目の再選挙の日程は再点検の後、検討されることになる。

 寒い冬が到来した。各陣営は再選挙に備えている。新聞記者の私もまた、長期戦に臨む覚悟だ。(塩塚保)