産経ニュース

【種蒔く人々】長崎・小値賀島「島宿御縁」経営・岩永太陽さん(下)

地方 地方

記事詳細

更新

【種蒔く人々】
長崎・小値賀島「島宿御縁」経営・岩永太陽さん(下)

「島宿御縁」には客もスタッフも国内外から集まる 「島宿御縁」には客もスタッフも国内外から集まる

 ■外国人スタッフの視点生かす

 小値賀(おぢか)島は、五島列島の北端に近い島です。島内で私が経営する島宿御縁には、外国人スタッフが常時1~3人います。スタッフといってもボランティアです。外国人向けのボランティアサイトで、住む場所と3食を無償提供する条件で募集しています。応募メールは毎日のように届きます。予想以上の人気です。

 外国人スタッフは、日本人が気付かないような所や物に興味を持ちます。例えば、裏庭に干してある洗濯物やダンゴムシ…。こうした写真は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で話題を集めました。スタッフの視点はとてもユニークで、新鮮味があります。

 これが、外国人客が求める視点でもあるのでしょう。スタッフの発信のかいもあって、外国人客は徐々に増えています。

 一方、ビジネス需要の割合も、まだまだ大きい。ビジネス客にも、観光客と同じように、おもてなしを心がけています。

 島の魅力を感じてもらえれば、島に戻ってきてもらえる。最初ビジネスで訪れたお客さんが、家族旅行で再訪してくれたときは、本当にうれしい。

 リピーターの方々にも支えられ、客室の平均稼働率も上がっています。開業1年目は50%程度でしたが、今は月平均で80%を超えています。

 私が目指す宿は、コミュニティースペースを兼ね備えたものです。楽しい場所を作ると、人は自然に集まります。何かを見て回るだけが観光じゃない。人に会うために、どこかに行く、そんな観光があっても良いと思う。

 私自身、人との出会いが楽しみで、宿を続けています。旅先での出会いが、思わぬ仕事につながることもある。宿がきっかけで、カップルが生まれたら、良いですよね。

 これからはツアーガイドの経験を生かし、五島列島全体のツアーも企画したいですね。私の強みの語学力を生かすことも、できるでしょう。そのためにも、他の島に拠点を持ちたいですね。いくつもの島、島民がコミュニケーションを取り、みんなで五島を盛り上げられれば最高です。

 こうしたつながりを作る上で、SNSの存在はとても大きい。まずは知ってもらわないと始まらない。インターネットによって、世界中に情報発信できる。ブログやホームページなど、情報の蓄積が生む人とのつながりは、田舎だからこそ、大きな意味がある。

 今の時代、小値賀島をはじめ、五島列島にはいろんな可能性があると信じています。

 小さな島は、プレーヤーが少ない分、チャンスは十分にあると思います。大切なのは自分がやっていて楽しいこと、本当にやりたいことを見つけ、行動することです。

 小値賀島の子供には、大きくなっても島に残ってほしい。「小値賀でもやれるんだぞ」と自信をもってほしい。そのために私も頑張ります。

                   ◇

【プロフィル】いわなが・たいよう

 昭和55年、長崎県生まれ。県立北松西(ほくしょうにし)高校(同県小値賀町)卒業後、アメリカに留学しノーザンアイオワ大学(アイオワ州)で英語教授法を学ぶ。平成15年に帰国し、英語塾講師や外国人向けツアーガイドなどを経て、27年6月「島宿御縁」を開業する。