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「半島有事」には人工島使い難民対処 下関市、独自方針の検討始める

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「半島有事」には人工島使い難民対処 下関市、独自方針の検討始める

下関市沖合の人工島「長州出島」(市提供) 下関市沖合の人工島「長州出島」(市提供)

 山口県下関市が朝鮮半島有事における多数の難民を想定し、対処方針の検討を独自に始めたことが18日、市関係者への取材で分かった。市内の埋め立て地を念頭に、保護した難民の集約などを協議する。半島からの難民に関して日本政府は具体策を示していないとみられるが、北朝鮮船の漂着が相次ぐ中、日本海側の自治体を中心に不安は広がっている。 (大森貴弘)

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 市関係者によると、市内各地に難民が漂着する事態を想定している。日本海側に造成した人工島「長州出島」への難民集約の方法などを模索する。

 長州出島は国際物流拠点として整備され、岸壁や倉庫などの港湾機能を持つ。この倉庫群を活用し、難民の一時収容や、医療支援を実施できないか-などの案が浮上しているという。

 市民の不安払拭にも長州出島は有効だ。

 人工島は本土から約1キロ沖にあり、1本の橋が架かる。島内には民家もない。万一、難民に感染症が発生した際、容易に交通を封鎖でき、防疫上のメリットがある。生物・化学兵器をもつ工作員が、難民を装った場合にも、対応が可能となる。

 ただ、人工島に立地した企業などの理解が欠かせない。市はこうした企業とも、対応策について協議するとみられる。

 ◆訓練を非公開

 起こりうる半島有事へ、自治体は対応に苦慮している。

 福岡市は今月1日、弾道ミサイル発射を想定し、全国瞬時警報システム(Jアラート)を使って、市内全域の携帯電話に緊急速報メールを送る訓練を実施した。地下鉄などの一時停止を含む大がかりなもので、高島宗一郎市長は「福岡はアジアに近く、強みと同時にリスクもある」と述べ、訓練の必要性を強調した。

 だが「九条の会 福岡県連絡会」などは、訓練が市民の不安を煽(あお)るなどとして、福岡市に中止を要請した。

 自民党衆院議員の杉田水脈氏(比例中国ブロック)は「市民団体が反対するので訓練をためらう自治体も少なくない」と指摘する。

 兵庫県は11月下旬、難民の漂着を想定した訓練を実施した。「大規模事案発生対処訓練」として、対策本部の設置など初動対応や、漂着現場からの映像の伝送方法などを確認した。だが、訓練を実施したこと自体、一切公表されなかった。反対の声を上げる団体に配慮した可能性もある。

 こうした情勢に加え、政府の難民対応の方針が定まらず、自治体に不安が広がる。

 山口県では、難民漂着に備えた対策や訓練はしていない。今後の予定もない。県防災危機管理課の担当者は「警察や海上保安庁と情報交換はしているが、それ以上のことは何もない。国からの連絡がなく、動きにくい」と話した。