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【種蒔く人々 地方創生】長崎・小値賀島「島宿御縁」経営・岩永太陽さん(上)

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【種蒔く人々 地方創生】
長崎・小値賀島「島宿御縁」経営・岩永太陽さん(上)

野崎島の旧野首教会 野崎島の旧野首教会

 ■島の良さ分かるようになった

 世界中の人が出会える場所をつくる-。そんな思いから、小値賀(おぢか)島(長崎県小値賀町)で、ゲストハウスなどを経営しています。

 島は母の故郷です。私も小学校2年から高校卒業まで過ごしました。ただ、子供の頃から今のような仕事をしたい、と思っていたわけではありません。むしろ、子供の頃は早く島を出たかった。とにかく田舎が好きになれなかった。

 高校卒業後、野球留学の制度を利用し米国に渡りました。そこで、英語を母国語としない人向けの英語教授法「TESOL」を学びました。帰国後は大阪で英語講師など、さまざまな仕事を経験しました。その後、20代の思い出づくりにと、28歳の時、ワーキングホリデー制度を利用しオーストラリアで1年過ごしました。

 再度帰国してから、外国人観光客向けのツアーガイドを始めました。文字通り、日本国内を飛び回りました。1~2カ月間家に戻れないこともある。忙しい毎日を送る中、昔は大嫌いだった田舎の良さが、だんだん分かるようになってきたんです。

 小値賀島にも外国人ツアー客を案内したら、好評でした。「日本の島や田舎には、まだまだ可能性がある」と気付きました。

 ガイドの経験を通して、宿泊業の良さにも気付きました。案内した宿の多くは、個性あふれるオーナーが、食事まで外国人を楽しませる趣向をこらしていた。宿泊客の満足した表情を見ているうちに、自分自身も宿をやってみたいと思うようになった。

 これまでの経験を生かして、何ができるか。考えた結論は、海外のお客さんをターゲットにした宿でした。

 小値賀で起業しようと決断してからは、島の人にかなり助けてもらった。地元だからこそ実現できた。同じことを、別の島でやろうと思っても、きっとできなかった。ありがたいですね。

 小値賀島の観光を語る上で、東隣にある野崎島も欠かせません。

 南北約6・5キロ、東西約2キロの比較的大きな島です。昔は3つの集落がありましたが、今では宿泊施設の関係者ぐらいしか住んでいません。それだけに手つかずの自然が残っている。

 島には、世界遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一つ、旧野首(のくび)教会があります。明治41(1908)年にできた、レンガ造りの本格的なものです。

 キリスト教が禁教とされた江戸時代から信仰を続け、明治時代以降も島に住み続けた17世帯が、資金を出し合って造ったそうです。

 正式に世界遺産となれば、観光客が世界中から押しよせるでしょう。今から英語で情報を公開することが大切です。

 私自身、フェイスブックやインスタグラムといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログでは、日本語と英語で情報発信しています。

 動画共有サイトなどもフル活用し、島や宿の魅力を伝えています。昔のつてをたどって、海外の旅行ガイドブックなど各種メディアにもアプローチしています。

 世界遺産になってからでは遅い。宿のアピールとともに、一生懸命やっていますよ。

                   ◇

【プロフィル】岩永太陽

 いわなが・たいよう 昭和55年、長崎県生まれ。県立北松西(ほくしょうにし)高校(同県小値賀町)卒業後、アメリカに留学しノーザンアイオワ大学(アイオワ州)で英語教授法を学ぶ。平成15年に帰国し、英語塾講師や外国人向けツアーガイドなどを経て、27年6月「島宿御縁」を開業する。