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森林の違法伐採相次ぐ スギ生産1位の宮崎、対策急務

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森林の違法伐採相次ぐ スギ生産1位の宮崎、対策急務

無断伐採された林を訪れた瀬戸山光明さん(右)。左は被害者の会の海老原裕美会長=宮崎県日南市 無断伐採された林を訪れた瀬戸山光明さん(右)。左は被害者の会の海老原裕美会長=宮崎県日南市

 国内有数の木材産地・宮崎県をはじめ各地で、所有者や管理自治体に無断で森林を伐採する「違法伐採」が疑われるケースが相次いでいる。輸入量の減少や、木質バイオマスの普及などで国産材需要が伸びていることに加え、行政のチェック体制の甘さも背景にある。後継者不足など林業を取り巻く環境が厳しい中、対応強化が急務となっている。

 「手続きが複雑で詳細が分からず、放置されたものもある。立件されたのは氷山の一角だ」

 スギ生産量が26年連続全国1位の宮崎県。県警は10月、伐採届を偽造し山林を所有者に無断で伐採し盗んだ事件を摘発したが、捜査関係者は対応が追いつかないと強調した。

 県によると、平成26年4月から今年10月末までに、スギを中心とする違法伐採被害の相談が計45件あった。実際の被害はもっと多いとみる。

 伐採業者や仲介業者に対し、民事訴訟を起こす動きもある。宮崎で被害者の会を設立した海老原裕美会長(60)は、新興国で横行する「盗伐」と同じ構図だとした上で「森林の所有者確認を怠った行政の落ち度もある。所有者だけ泣き寝入りするのはおかしい」と憤る。事態が表面化しても処分しないなど、県や市町村の対応も遅いという。

 宮崎県日南市の会社員、瀬戸山光明さん(62)は、祖父の代から守ってきた林のスギ約400本を昨年10月、無断伐採された。伐採業者が謝罪に訪れ、再造林の方針を決めるまで1年以上かかった。強引な伐採によって林は荒れたままで「同じ思いをする被害者を減らしたい」と力を込めた。

 森林伐採をめぐっては、問題が相次いでいる。北海道のニセコ積丹小樽海岸国定公園や周辺では地熱発電の調査名目で、6~8月にハイマツなど約3千本が伐採。静岡県伊東市や兵庫県三田市では太陽光発電パネルの設置工事のために必要な手続きなく山林を開発していた。三重県や福島県でも無許可伐採が発覚した。

 戦後植林されたスギなどが伐採適齢期を迎え、大型木製パネル「CLT」など用途拡大も進む。林野庁によると、国内木材生産量は21年から28年で約5割増加。安価な輸入材に押されて一時は20%を割り込んだ木材自給率は、28年は34・8%と回復傾向にある。

 一方、22年の調査で林業従事者の平均年齢は52・1歳、高齢化率は21%と全産業平均を上回る。放置林が増える中、境界が不明となり違法伐採の温床になっているとの指摘もある。違法伐採が横行すれば産業の衰退につながりかねない。

 政府もこうした現状に危機感を持つ。

 28年に森林法を改正し、各市町村が細かく所有状況を把握できる林地台帳の整備を義務付けるなど、対策に乗り出した。しかし、現場からは「土地を一から調べるのは費用も膨大な手間もかかり、現実的でない」との不満も根強い。

 森林総合研究所の堀靖人研究ディレクターは「これまでは間伐が主で問題が顕在化していなかった。大規模伐採が急激に広がる中、行政の監視が追いついていない。体制の構築が急務だ」と指摘した。