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斉藤実・神奈川県警本部長に聞く “平和の祭典”へ県民協力必要 「安全な社会、レガシーに」

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斉藤実・神奈川県警本部長に聞く “平和の祭典”へ県民協力必要 「安全な社会、レガシーに」

 2020年東京五輪では、横浜スタジアムを含めて県内3会場で競技が実施される。世界各国から多くの観客が集まることが予想されるなか、警備やテロ警戒の中心となる県警の斉藤実本部長に、対策の現状や今後への課題を聞いた。(聞き手 中村翔樹)

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 --横浜スタジアムの五輪期間中の警備について、現時点での想定は

 球場内にも警察官は置くが、基本的には周囲の公共空間の安全確保が県警の仕事になる。野球はダブルヘッダー(1日2試合開催)の日があるとみられ、1試合ごとに観客が入れ替わるため、交通整理を徹底しないといけない。県警交通部では現在、付近の交通量の確認などを進めている。

 入退場口、選手やVIPの動線、車寄せの場所などがどこに何カ所設けられるかによって警察官の配置はかわってくる。現段階では未定のため、大会組織委員会などの動向を注視している。

 --2002年日韓サッカーワールドカップ(W杯)で警備経験がある

 当時は警察庁警備課におり、北海道、宮城、埼玉の3会場について、警備計画の立案に関わった。サッカーはフーリガン(暴徒化したファン集団)対策として、対戦国のファン同士の動線が交わらないよう、スタジアム内に柵を設けるなどした。野球やソフトボールの観客向けに同様の対応は不要とみているが、警備が非常に難しいことにかわりはない。

 --テロをめぐる状況は当時とはかなり異なる

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の登場以降、日本でも現実的な問題となった。横浜スタジアムの周辺は中華街や赤レンガ倉庫などソフトターゲットが数多い。警察だけでは人手は足りず、各施設の管理者や地域住民の協力が必要だ。

 --具体的には

 全ての施設に(検知センサーなどがある)セキュリティーゲートの設置を求めることは、現実的ではない。爆発などがあった場合に備え、窓ガラスが飛散するのを防ぐ専用フィルムをはっておく。(視界がよくなるように)伸びっぱなしの植え込みの植物を切っておく。それぞれができる範囲で取り組んでほしい。

 --県内では横浜国際総合競技場(サッカー)、江の島ヨットハーバー(セーリング)も五輪の競技会場になる

 国際競技場は2019年にラグビーW杯決勝が開催される予定で、江の島もセーリングのW杯が18年9月から3年連続で行われる。五輪の予行演習と位置づけて課題を発見し、解消していく。

 --今後に向けて

 先述したが、五輪は警察力だけでは対応が難しい面もある。平和の祭典の安全な遂行に向け、県民一人一人の協力を得ながら準備を進めたい。そうしてできた社会が五輪のレガシー(遺産)になる。

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【プロフィル】斉藤実

 さいとう・みのる 東京都出身。55歳。東大法卒。昭和60年に警察庁入庁。警察庁警備課長、警視庁警備部長などを歴任し、今年8月から現職。平成22年に横浜で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも警備を担当した。