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山梨のスーパー「やまと」、自己破産を申請へ 170人解雇 

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山梨のスーパー「やまと」、自己破産を申請へ 170人解雇 

 創業105年の中堅食品スーパー「やまと」(韮崎市富士見)は6日夜、全9店舗の営業を停止し、約170人の従業員を全員解雇した。甲府市の代理人弁護士によると、早期の手続き開始を目指し、来週中に甲府地裁に自己破産を申請する。帝国データバンク甲府支店などによると、負債総額は平成29年6月期決算で16億6900万円。やまとは県北を中心に県内で親しまれてきたが、大手量販店や同業他社との競合激化で、売り上げの不振が続いていた。

 やまとは大正元年に鮮魚店として創業。昭和26年に株式会社化し、50年からは食品スーパーに業態を転換した。

 韮崎、北杜両市を中心に甲府、笛吹、市川三郷などで店舗を展開。最盛期は16店舗を運営し、平成12年6月期には約78億9200万円を売り上げた。

 だが、大型店や競合他社の出店攻勢、価格競争の激化などで客数、客単価の減少が続き、26年6月期の売上高は47億9200万円に落ち込み、債務超過に陥った。

 25年以降は不採算店を閉鎖し、現在の9店舗に縮小した。

 金融機関や主力仕入れ先の支援で経営再建を目指したが収支改善は進まず、直近の29年6月期の売上高は27億4700万円。4期連続の最終赤字で事業継続は困難と判断した。

 小林久社長は取材に対し、「高齢者が多い地域のお客さま、取引先、従業員に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。約170人の従業員全員の再就職支援に全力を尽す」と話した。

 やまとは近年、地域密着型の店舗運営で再生を目指してきた。甲府市の中心市街地の活性化を狙った出店や、県内初のレジ袋有料化、高齢者が多い韮崎市内での「移動スーパー」の導入など、ユニークな取り組みを展開していた。

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 ■「これからどうすれば」常連客も落胆

 自己破産申請の準備に入ったスーパー「やまと」の本社がある富士見店では7日、玄関ドアに「閉店のお知らせ」が張られた。閉店を知らずに来店した客たちは、一様に驚いた様子だった。

 近くの主婦(85)は「足の調子が良くなく、近所でありがたかった。店員も明るく、感じがよかった。これからどうすればよいのか」と表情を曇らせた。

 自転車でほぼ毎日、来店していた元会社員の男性は(60)は「魚とか肉が他のスーパーより安くてありがたかった。これから寒くなるのに自転車で遠くに行かなければならない」と残念がった。

 6日の営業が終了した午後8時、店内で小林久社長から閉店を告げられたという男性従業員(40)は、「驚いた。これからどうすればよいのか。従業員もお客さまもアットホームな雰囲気でよい店だったのに…」と肩を落とした。

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 ■県と労働局が再就職を支援

 県と山梨労働局は7日、スーパー「やまと」の全店閉店に伴う約170人の全従業員の解雇を受け、再就職支援の取り組みを始めた。県は「やまなし・しごと・プラザ」(甲府市飯田)でキャリアカウンセラーが就職相談に応じるほか、常駐するハローワークの職員が職業紹介する。

 甲府市と韮崎市のハローワークでは、離職票を持参した従業員を対象に近く、雇用保険の受給手続きを開始する。再就職に関する説明会も開く計画だ。