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新幹線長崎ルート「フル規格発信を」 嬉野でシンポ、沿線5市長ら国への要請強化

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新幹線長崎ルート「フル規格発信を」 嬉野でシンポ、沿線5市長ら国への要請強化

九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化を求めたシンポジウム 九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化を求めたシンポジウム

 九州新幹線長崎ルートの開業に向け、沿線の活性化を議論するシンポジウムが3日、佐賀県嬉野市の市公会堂で開かれた。出席した5市の市長や経済団体トップは、鹿児島ルートと同じ全線フル規格化を求め、国へ強く働きかけることで一致した。長崎ルートについて、国土交通省は来年3月までに、フル規格も含めた整備方式ごとの投資効果などを調査、与党に報告する。(九州総局 高瀬真由子)

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 シンポでは、佐賀県の嬉野、武雄両市、長崎県の長崎、諫早、大村各市の首長と、地域の商工会議所会頭ら12人が登壇した。5市はこれまでも協議の場を設けてきたが、今回初めて、フル規格化をテーマとした。

 大村市の園田裕史市長は「これは長崎や佐賀の問題ではなく、国を縦につなぐ国策だ。全体がつながることで国が発展する。フル規格での整備を、国でぜひ決定してほしい」と訴えた。

 武雄市の小松政市長は「東京、名古屋間にリニアが開通し、大阪までつながれば、(九州など)西日本は取り残される。アジアから長崎、佐賀を経由して関西まで行く流れをつくらなければ、リニアでつくるメガ経済圏に負けてしまう」と主張した。

 長崎ルートは、新鳥栖-武雄温泉を在来線、武雄温泉-長崎をフル規格の新幹線とする「リレー方式」で、平成34年度に暫定開業する。国交省は従来、新幹線と在来線の両区間を走れるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)を導入する計画だったが、開発が遅れている。

 与党の検討委員会は、全線フル規格化や、山形新幹線などで採用されたミニ新幹線を含め、整備方式を再検討。国交省の報告を受け、来年3月末以降に結論を出す。

 長崎市の田上富久市長は「3月までに、地元がフル規格でまとまり、発信することが大事だ」と述べた。

 シンポでは、地方特有の切実な訴えも出た。大村商工会議所の中村人久会頭は「フル規格の新幹線を通しておかないと、人が住まない街になり、人口がどんどん減っていく。観光以前の問題だ。30年後、50年後に遺恨を残す」と語った。

 実際、山形県では「ミニ新幹線は、速達性や定時性・安定輸送の面で課題がある」として、フル規格の「奥羽・羽越新幹線」を求める声が上がる。

 地元の声や、与党が再検討に踏み切ったことで、JR九州内でもフル規格化の必要性を指摘する声が、高まる。同社の青柳俊彦社長は「フル規格なら自信を持って応えられる」と述べている。

 ただ、全線フル規格にした場合、佐賀県に800億円の追加負担が生じる。

 シンポで嬉野市商工会の小原健史会長は「財政負担(を解決するに)は、国からもってくるしかない。決めるのは国会。フル規格になるよう、運動していきたい」と語った。