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【みちのく会社訪問】山形県自動車販売店リサイクルセンター(山形市)

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【みちのく会社訪問】
山形県自動車販売店リサイクルセンター(山形市)

 ■廃車部品から新たな製品

 自動車リサイクル法施行から12年がたち、現状を知ろうと訪ねた山形県自動車販売店リサイクルセンター。従来の部品回収や解体処理などで75%以上のリサイクル率を達成するなか、同社はさらに一歩進めたリサイクルを推進する。

 山形大学との共同研究で、電子レンジを利用して、自動車触媒からプラチナなどの希少金属を回収する方法を発見。これまで24時間以上かかっていたものが、容易にできるようになる。自動車触媒2個から指輪1個分のプラチナを回収できる。同社設立時に掲げた理念「地域産学連携事業の推進」を具現化した形だ。

 一方、廃車から取り出した部品からも新たな製品が生まれている。エアバッグやシートベルトはバッグや帽子に、シートは名刺入れなどに生まれ変わる。著名デザイナーによるデザイン性の高い商品もある。廃車から取り出した再利用可能なドアやドアミラー、エンジンは洗浄され、インターネットで販売される。同社倉庫には出荷を待つメーカー各社のリサイクル部品1万1千点以上が陳列されている。

 これほど多くの部品をそろえられるのも、同社が県内18のすべての自動車販売店で設立された経緯があるからだ。遠藤栄次郎社長は「自動車を販売する企業として循環型社会づくりに貢献するために設立した」と理念を話し、他県にはない画期的なシステムだと胸を張る。同社では今後、プラスチック部品やガラス部品の再利用化に向け、さらにリサイクル率を上げていくという。 

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 ◆遠藤栄次郎社長(86) 車にある「大きな資源」

 --企業の社会的意義を重要視されていますが

 「車のリサイクルを通じて社会貢献するために生まれた会社です。自動車といえば、交通事故を起こしたり排出ガスを出したりと、負の面が強調されます。しかしリサイクルといった視点からみると、車には大きな資源があることに気付きます」

 --実際に産学連携が新たな成果も生み出している

 「ええ、排出ガスを無害化する自動車触媒には、プラチナやパラジウムなどの希少金属が含まれています。これを回収する方法を山形大学との共同研究で簡易に回収できる方法を見つけました。国内で廃車される年間315万台から触媒を回収した場合、新車約30%分の希少金属が回収できることになる。まさに埋もれていた“都市鉱山”を見つけた思いです」

 --コスト面でも付加価値が?

 「この回収方法は、24時間以上かかっていた触媒からの回収をわずか3分ほどで可能にする画期的なシステムで、全国から問い合わせがきています。現在、弊社のリサイクル率は75%程度。ガラスやプラスチック部品からのリサイクルは進んでいません。この分野でも山形大学との共同研究を進めています」

 --自動車分野の将来像はどんなふうに描いていますか

 「現代は、電気自動車をはじめAI(人工知能)を積んだ車など、車そのものが急速に変化しています。その新たな方向に沿ったリサイクル社会を構築、持続していくためにも廃車の活用方法をさらに開発していきたい」(柏崎幸三)

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 ■企業データ 山形市漆山行段1422。自動車リサイクル法施行に伴い山形県内の全自動車ディーラー18社が共同で平成17年9月に設立。資本金4000万円。従業員60人。使用済となった自動車から部品を取り出し販売。リサイクル部品をマレーシア、アラブ首長国連邦など海外にも輸出する。売上高は8億5000万円(平成29年度見込み)。