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亀山の深川屋が開発 神話ゆかりの新作、特産の柑橘使用した和菓子 三重

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亀山の深川屋が開発 神話ゆかりの新作、特産の柑橘使用した和菓子 三重

 ■菓子博でヒント

 亀山市の老舗和菓子店「深川屋 陸奥大掾(むつだいじょう)」が、鳥羽市の答志島に自生する神話ゆかりの果実「ヤマトタチバナ」(県天然記念物)を使った新商品「関の戸やまとたちばな」を開発した。14代当主の服部亜樹さん(53)が今春の「お伊勢さん菓子博」でヤマトタチバナを知り、香りに魅せられたのがきっかけだ。三越がお歳暮商品として大きく紹介するなど、三重の新しい名産として注目されている。

 深川屋は東海道五十三次の宿場町「関宿」で約380年続く県内屈指の老舗。伊勢市で4~5月に開催された「お伊勢さん菓子博」では、街道を行き来する諸大名にも愛された店の歴史や製造技術を伝える道具類などを展示した。

 そのすぐ近くのブースで鳥羽商工会議所が紹介していたのが、ヤマトタチバナと、その加工品のポン酢や匂い袋だった。服部さんは「初めてヤマトタチバナを知り、豊かな香りに衝撃を受けた」と話す。

 その後、伊勢市の割烹(かっぽう)料理店「柚子(ゆず)」が、答志島産のヤマトタチバナで作っている商品「やまとたちばな ちりめん」をヒントに、新商品の構想を固めた。

 ところが、果皮は和菓子にすると口の中に苦みが強く残ってしまい、苦みを抑えると香りが立たなくなる。まろやかな味で知られる砂糖の一種「和三盆」の配合など試行錯誤を重ねて、さわやかな香りと中のあんことを調和させ、完成にこぎ着けた。

 鳥羽商工会議所によると、日本原産の柑橘(かんきつ)種はヤマトタチバナと沖縄のシークァーサーだけ。日本書紀は、11代垂仁天皇が但馬の「田道間守(たじまもり)」を海の向こうの「常世国(とこよのくに)」に遣わして「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を求めたとの伝承を記し、これを「今の橘(たちばな)なり」と解説する。

 鳥羽市など伊勢志摩地域は垂仁天皇の娘、ヤマトヒメの巡行伝承が点在しており、ヤマトタチバナは神話ロマンをかき立てる果実だ。服部さんは「伝承豊かな三重の魅力を全国に発信するお菓子になればうれしい」と話す。

 深川屋では、定番の「関の戸」と「関の戸やまとたちばな」の各3個入り1箱を864円で販売。