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内部ゆったり核シェルター 米国製、鹿児島の建設会社が販売

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内部ゆったり核シェルター 米国製、鹿児島の建設会社が販売

米国製核シェルターの内部。はしごを降りると2段ベッドや空気清浄機が置かれていた 米国製核シェルターの内部。はしごを降りると2段ベッドや空気清浄機が置かれていた

 朝鮮半島有事や大規模災害を想定し、鹿児島市の住宅建設会社、七呂(しちろ)建設が米国製の家庭用核シェルターの販売を始めた。同社が販売前に開いた内覧会で、核シェルターを見学した。

 ◆4.5畳で2週間生活

 鹿児島市石谷町にある住宅展示場。モデルルーム前の地下に、シェルターが設置されていた。

 シェルターは、アトラス・サバイバル・シェルターズ(カリフォルニア州)の製品「ピースルーム」だ。九州での取り扱いは七呂建設が初となる。

 シェルターは地下4・5メートルに埋められており、外からは鉄製のドアしか見えない。ドアを開けてもらい、内部をうかがう。開口部から部屋までは、はしごを伝って下った。部屋の広さは4・5畳。大人4人が電気なし、水道なしでも約2週間生活できるという。

 外気からの放射性物質や化学物質を防ぐ空気清浄機のほか、2段ベッドとソファベッド、簡易トイレが備え付けられていた。床下には、非常用の食料や日用品も備蓄されていた。

 さらに、出入り口のドアにはパワージャッキが備えられていた。がれきに埋もれても、重さ8トンまでは押し上げて、ドアを開けられるという。

 アトラス社は冷戦下の1950年に誕生した。米軍の協力を得て、核実験で検証し、シェルターの性能を高めたという。現在、年間1千基を超すシェルターを生産し、輸出もしている。

 室内は体の大きな米国人対象のため、ゆとりも感じられた。七呂建設テクニカルマネジャーの武藤康治氏(38)は「停電時でも、人力で空気の入れ替えができるようになっている。平時は書斎や物置、金庫代わりにも活用できる」と話した。

 ◆携帯、メールOK

 実際に、シェルターに滞在した人がいる。鹿児島で活動する女性お笑い芸人、マイクさん(34)だ。

 マイクさんはスリーサイズがいずれも120センチ、体重130キロ超という“巨漢”芸人だ。七呂建設の依頼で、15日午後6時から16日午前8時までシェルターで過ごした。

 ユーモアを交え、感想を話してくれた。換気扇のような音がしただけで、床下にあった非常食は、おいしかったという。携帯電話は通じ、同社から安否確認のメールが届いたが、非常食で腹を満たした後は熟睡。「子供は秘密基地感覚で楽しめそう」と語った。

 「購入したいか?」との問いには「芸人として売れたらぜひ…。将来の人生設計に入れたい」と答えた。

 七呂恵介社長は「大規模災害の多発に加え、緊張する北朝鮮情勢をふまえて販売を決めた。鹿児島は桜島など火山リスクもある。自分の命は自分で守らなければならない時代になった」と述べた。

 ◆普及率0・02%

 シェルターは複数の部屋タイプがあり、価格は設置費込みで1500万円から。同社では九州・沖縄一円で販売し、平成30年度に10棟、35年度までに100棟の取り扱いを目指す。

 ただ、国内の核シェルター普及率はゼロに等しい。NPO法人「日本核シェルター協会」(神戸市)によると、公共、家庭用を問わず、国内にどのくらいの国民を収容できるシェルターがあるかを示した普及率は、スイスとイスラエルが100%、米国82%、英国67%に対し、日本は0・02%だった。

 2014年の数字だが、同協会の織部信子理事長は「現在も大きな増減はない」と指摘する。

 ちなみに韓国は、もともと整備が進んでいたことに加え、最近、シェルターの強靱化が進められているという。