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広島・流川の立ち飲み屋、ビール2杯までなのに大行列 注ぎ方だけで15種の味変化

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広島・流川の立ち飲み屋、ビール2杯までなのに大行列 注ぎ方だけで15種の味変化

 1人ビール2杯まで-。中国地方最大の歓楽街、広島市中区の流川に行列ができる立ち飲み屋がある。週末は90分待ちも珍しくないという「ビールスタンド重富」が出すのは1杯500円のビールだけ。他の酒は出さない。2杯限定なのに、なぜこんなに行列ができるのか。

 元々は大正時代から3代続く酒屋だ。「取りあえず」で頼まれるビールを、本当においしく飲んでもらおうと、店舗敷地内の一角で平成24年に「角打ち」と言われる立ち飲み屋を始めた。

 扱っているのは一般的なメーカーのビールだが、「注ぎ方だけで15種類もの味の変化を出すことができます」と代表の重富寛さん(54)。数種類あるメニューのうち、定番の「壱度注ぎ」は、一般的に使われるサーバーとは違う、戦前に使われていた古いタイプを使用。グラスを傾け勢いよく流れ出るビールを優しく受け止める。あふれ出そうになった泡はヘラで切る。

 「弐度注ぎ」では2度目に泡だけを注ぎ、壱度注ぎの泡を、きめ細かいもっちりとした泡であふれ出させて置き換える。飲んでみると、優しい口当たりで同じビールとは思えないほど味が違う。

 「味の8割を決める」というグラスの洗い方やサーバーの手入れにも余念がない。

 営業時間は午後5時から7時まで。「うちはあくまで酒屋。飲食店と競合してはいけない」と話す。「0次会」として使ってもらい、ほろ酔いの客を歓楽街に送り出すのが役割だと心得ている。

 重富さんが目指しているのは、うまいビールが当たり前になること。各地でビールの注ぎ方セミナーを催し、飲食店に自分の知識や技術を惜しみなく広めている。「いつか広島中の飲食店が私よりうまいビールを出して、私は酒屋に専念するのが夢です」

 最後に一応聞いてみたが、「どんなに頼まれても3杯目は駄目ですよ」と笑った。