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養殖魚マグロ・カンパチの「未利用資源」「頭を使え」新しい鹿児島ブランドに

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養殖魚マグロ・カンパチの「未利用資源」「頭を使え」新しい鹿児島ブランドに

 カンパチやクロマグロの養殖が盛んな鹿児島県で、養殖魚の頭部を食材として活用するプロジェクトが始動した。これまでは廃棄するか、飼料・肥料にしか使い道がなかったが、加圧加熱処理を施すことで、豊富な栄養分を生かした食材とする。食品メーカーなど関係者は、来月に「鹿児島機能性食品研究会」を発足させる。 (谷田智恒)

 鹿児島県は養殖漁業が盛ん。中でもカンパチは生産量全国1位、クロマグロは2位だ。

 こうした高級養殖魚は、刺し身用などとして消費が伸びている。一方、頭部は食品としての加工処理が難しく、あまり使われていなかった。魚1体あたり、切り身は55~60%、頭は30%を占めるという。

 この「未利用資源」に着目した人物がいた。

 「マグロなどの頭部にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やコラーゲン、カルシウムなどが豊富に含まれている。米で例えると、魚の頭は胚芽のようなもの。栄養成分を明らかにし、食品素材として生かせないかと考えた」。プロジェクトを牽(けん)引(いん)する鹿児島市の薬剤師、武昭一氏(67)は、こう語った。

 武氏は平成27年4月末まで、鹿児島県議を4期務めた。その後、食品加工業の「日本食品」を経営する傍ら、「医食同源」をテーマに研究に取り組む。自社でクロマグロやカンパチの頭部に加圧加熱処理を施し、骨まで柔らかくした食品素材を開発した。

 併せて、元鹿児島女子短大教授の吉元誠氏に、商品開発への協力を求め、研究費も支援した。吉元氏は長年、「健康の維持・増進」に役立つ食品を研究してきた。

 吉元氏らのグループが、加圧加熱処理されたクロマグロの頭部の栄養成分を調べると、カルシウムやDHAは、切り身部分より多く含まれていた。吉元氏らは「高濃度の栄養成分を含む安全安心な高機能性食素材」と位置づけた。

 武氏は県議時代に培った人脈も駆使し、地元の食品加工メーカーなどに、魚の頭部を使った商品開発を持ちかけた。

 老舗さつま揚げメーカーの有村屋は、魚の頭部も使ったさつま揚げを開発した。ギョーザ製造会社や、みそ醸造会社も開発に乗り出した。

 「魚を育てる鹿児島のきれいな海は、世界に挑戦する大きなインフラとなりうる。魚の頭部を使って、新しい鹿児島ブランドの食品に育てたい」。武氏らは、商品開発の動きを加速させようと、12月10日に「鹿児島機能性食品研究会」を設立する。

 研究会には食品会社だけでなく、医療機関なども参加する。今後、商品開発にとどまらず、病院食や学校給食への普及、海外輸出も視野に入れる。

 同研究会には、南日本リビング新聞社も参加する。大迫純久社長は「女性をターゲットにした料理教室などでの導入を検討する。リビング新聞グループの力を生かして、関西圏や首都圏の企業に売り込む際の、橋渡し役も務めたい。鹿児島の活性化につなげたい」と述べた。