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特殊詐欺、新通報システム導入で20件阻止 群馬 「300万円以上は県警に全件通報」奏功

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特殊詐欺、新通報システム導入で20件阻止 群馬 「300万円以上は県警に全件通報」奏功

 高齢者を狙った特殊詐欺被害防止策として、県警が県内金融機関と協力して9月から導入した新たな通報システムが20件の被害を阻止する成果を挙げたことが分かった。70歳以上の利用客が300万円以上を引き出そうとした場合、担当者を通じ県警に全て通報するシステムなどの厳格な対策が奏功した。その一方で、詐欺手口の巧妙化で被害が絶えないのが現状で、県警は警戒を強めている。 

 新通報システムは9月19日から導入。県内金融機関のほぼ全店に当たる915店舗が協力した。65歳以上が50万円以上を引き出そうとした場合、「息子を名乗る人が振り込みを求めている」など詐欺が疑われるパターンを示した県警作成のチェックシートに従って通報する対策も新たに加わった。

 県警生活安全企画課によると、10月31日までの30営業日で114件の通報があった。このうち94件は特殊詐欺とは無関係だったが、20件の被害を阻止できた。金額ベースで計5510万円に相当し、最高額は700万円に上る。被害を免れた利用客は最年少が73歳の女性、最高齢で88歳の男性だった。

 新通報システム導入以前の今年1月~8月末に、金融機関の窓口で阻止できた詐欺被害は53件だった。1カ月あまりで、その3分の1を超える件数の被害を防げたことに、同課は「相当の効果があった」と手応えを感じている。ただ、今年の特殊詐欺被害は10月末現在で215件(前年同期比45件増)に上り、手口別でみると、オレオレ詐欺117件(同32件増)、架空請求53件(同26件増)-となっている。金額は約3億7440万円で約8480万円減っているが、深刻な状況に変わりはない。

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 ■手口巧妙化「いたちごっこ」 怪しいと思ったらまず通報

 特殊詐欺の犯人は、親族だけでなく、警察関係者も名乗って高齢者らを狙ってくる。捜査機関も新たな対策を導入して防犯に努めているが、手口はそれを逆手にとるレベルにまで巧妙化しており、“いたちごっこ”が続いている。

 館林市の女性(64)は10日、警察職員などを名乗る男らの「市内で、オレオレ詐欺の逮捕者が10人くらい出ていて、その中に銀行職員がいた。あなたのキャッシュカードの暗証番号が流出した可能性がある」などの嘘を信じてしまった。キャッシュカードをだまし取られた上、教えた暗証番号を悪用され、100万円を引き出された。

 特殊詐欺が悪質化する中、捜査機関は、だまされたふりをして犯人をおびき寄せて逮捕する「だまされたふり作戦」を導入しているが、その裏をかく手口まで登場している。

 隣県の埼玉では9月、春日部市の女性=当時(83)=と上尾市の女性=当時(76)=が警察官を名乗る男らの「犯人をつかまえるのにはお金が必要だ」などとの電話を信じ、現金を手渡した。

 県警によると、県内では今年1月~10月末に、だます過程で警察官を装った男らが登場したケースは約40件あるという。もちろん、警察がキャッシュカードの提出や暗証番号を聞き出すことはありえない。あやしいと思ったら、通報が第一だ。