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九州・山口の地銀の中間決算出揃う 「稼ぐ力」強弱はっきり

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九州・山口の地銀の中間決算出揃う 「稼ぐ力」強弱はっきり

 九州・山口8県の地方銀行の平成29年9月中間決算が14日、出そろった。日銀のマイナス金利政策の影響が大きく、一般企業の売上高にあたる経常収益は、21行中13行で前年同期比マイナスとなった。収入のうち貸出金利息をみると、15行が前年同期比マイナスだった半面、6行はプラスだった。低金利という悪環境下で、地銀の「稼ぐ力」の強弱がはっきりし始めた。(村上智博)

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 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下の福岡銀行は、貸出金利息が2・9%増加した。柴戸隆成社長(福岡銀行頭取)は「貸出金利の下げ幅が小さくなり、貸し出しのボリュームにかなり追いついてきた」と語った。福岡銀行をはじめ、各地銀は貸し出しの総額を増やすことで、金利低下をカバーしようとしてきた。

 柴戸氏の発言は、金利低下に一服感がみられることで、ボリューム増の効果がより顕著になったことを意味する。

 山口FG傘下の山口銀行もプラス2・4%だった。吉村猛社長(山口銀行頭取)は「アベノミクス効果で、設備投資も大手から中小企業に波及しつつある。今後も貸出金を増やす」と手応えを感じる。

 佐賀銀行の坂井秀明常務は「医療・介護分野への融資が佐賀、長崎で伸びた」と話した。

 西日本フィナンシャルホールディングス(FH)は、傘下2銀行の貸出金利息はマイナスだったが、決算そのものは増収増益だった。谷川浩道社長は「貸出金利息から預金利息を差し引いた収支が、増加に転じた。明るい兆しが見えてきており、グループの収益力は底堅い」と語った。

 こうした銀行は、経営相談や取引先紹介といった「付加価値」によって、金利のたたき合いから距離を置けている。

 ◆「地方に根付く」

 一方、貸出先の開拓に四苦八苦する地銀も多い。

 南日本銀行は貸出金利息がマイナス2・5%だった。斎藤真一副頭取は「太陽光発電への設備投資も収まり、マンションへの融資もピークが過ぎた。貸出量を増やすのは、限界にきている」と述べた。

 十八銀行も、貸出金利息の減少が目立つ。鷲崎哲也常務は「マイナス金利の環境が続いて厳しい。それが数字に表れた」と語った。ただ、金融関係者の中では、ふくおかFGとの経営統合が暗礁に乗り上げた影響を指摘する声もある。十八銀行の企業向けなどの事業性融資の残高(9月末)は、4・1%減った。

 この状況に、貸出先の争奪戦は県境を越える。

 肥後、鹿児島両銀行を傘下に置く九州FGの郡山明久取締役は「沖縄県は貸し出しを取っていける余地がある。住宅ローンでスタートし、法人担当も増やした。福岡市場もマーケットが大きい」と語った。

 金融は経済の「血液」だ。地銀を中心とした金の流れが止まれば、地方経済は衰退する。また、地方に腰を据えざるを得ない地銀にとって、地方経済の動向は、経営に直結する。

 宮崎太陽銀行の安藤和慶取締役総合企画部長は「地銀は地方に根付いており、簡単には店舗は閉められない。業務を見直し、行員のパフォーマンスを上げるしかない」と語った。

 マイナス金利政策がいつまで続くかは、見通せない。地方の人口減少も、より深刻になっていく。

 金融庁は今月10日に公表した「金融行政方針」で、ビジネスモデルの持続可能性に深刻な課題を抱える地方銀行に対し検査を実施し、課題の解決に向けて早急な対応を促すことを盛り込んだ。

 収益力の衰えた地銀に残された時間は、長くはない。