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江津の彫刻家・田中さんが石見根付で大臣賞 市役所で報告

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江津の彫刻家・田中さんが石見根付で大臣賞 市役所で報告

 島根県西部の伝統工芸品「石見根付(ねつけ)」の技術を継承する彫刻家の田中俊●(としき)さん(75)=同県江津市=が、公募展「第40回日本の牙角(げかく)彫刻展」で文部科学大臣賞を獲得し、市役所で14日、受賞を報告した。

 根付は、江戸時代に印籠(いんろう)やたばこ入れなどを帯からつるす際の留め具。やがて彫刻や装飾などが発達し、美術品となった。石見根付は、身近な生き物をモチーフとし、イノシシの牙や木などを材料としたのが特徴で、「石見もの」などとして高く評価されたが、その後途絶えた。

 少年時代から彫刻が好きだった田中さんは、会社勤めの傍ら腕を磨き、昭和48年に彫刻家としての道を本格的に歩み始めた。その後、世界的な根付コレクターだった故高円宮さまが平成7年に江津を訪問された際、勧められて石見根付の復興に本腰を入れた。

 今回の受賞作「里の秋」は、サトイモの枯れ葉に隠れたトカゲが獲物を狙う一瞬の光景を表現。今回はカバの歯を使って緻密に彫り込み、虫食い穴もデザインに生かす工夫を凝らした。長さ約14センチと根付としては大柄の「差し根付」で、審査では「自然の織りなす無常の摂理が感じられる優品」と評価されて高円宮賞に次ぐ栄誉に輝いた。

 前身の「日本の象牙彫刻展」(平成19年)で高円宮賞に選ばれて以来の受賞。報告を受けた山下修市長は「細かい作業で仕上げられた素晴らしい作品。こういう彫刻家が地元にいることは江津にとっても大きな誇りだ」とたたえた。田中さんは「宮様が生きておられたら喜んでくれたと思う。今後も、ふるさとを主題に作り続けたい」と意気込んでいた。

●=目へんに希