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女性や高齢者らに白羽の矢 農業の担い手創出目指し奈良県と近大がモデル事業

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女性や高齢者らに白羽の矢 農業の担い手創出目指し奈良県と近大がモデル事業

 農業参入のハードルを下げることで、初心者や女性、高齢者などを新たに農業にマッチングしようと、県と近大農学部(奈良市)は、手間がかからず低コストでできる農法を提案する「『農の入口』モデル事業」を始めた。今後「なら近大農法」として確立し、マニュアル化して広めることで、県内各地で農の担い手の創出を目指すという。

 県内では少子高齢化の影響で農業従事者の高齢化が進み、担い手不足が深刻な問題となっている。そこで、新たな担い手として白羽の矢が立ったのが、女性や高齢者、障害者だ。「きつい、汚い、危険」というこれまでの農業のイメージを脱却し、「快適、きれい、健康」という新たな「3K」への転換を模索する県は、9月に近大と協定を締結。年内には近大の農場で、新たな農法での作物の試験栽培を始める予定という。

 なら近大農法は、低コストでできる「ユニバーサル農法(ローテク)」と、作業を自動化することで省力化した「ICT農法(ハイテク)」の二本柱で構成。ローテクでは、近大が発明した古着などの繊維でできた「ポリエステル媒地」を利用する。媒地を箱の中に敷くだけで栽培でき、土を全く使う必要がないため、土壌のよしあしなど場所を選ばない。素材が繊維のため軽量で、女性や高齢者でも持ち運びしやすい。媒地は半永久的に使えるのも特徴で、コスト低減につながるという。

 県担当者は「奈良の土は重たいといわれ、根物の収穫は重労働。ポリエステル媒地なら、画期的に収穫作業が楽になる」と話す。

 一方、ハイテクではICT(情報通信技術)を活用。機械が作物の生育データを分析し、肥料などの量を調節して自動で散布したり、食べ頃を判別したりする。個人の経験や勘に頼る必要がなく、初心者でも失敗する可能性が低い。

 県の福谷健夫農林部長は、「奈良の農業は転換を図るときがきた。マニュアルを使って短期間で所得につながれば、担い手も増え、県内の耕作放棄地の解消にもつながる」と期待を込めた。