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【衆院選】識者に聞く「選択の視点」(上) 神奈川

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【衆院選】
識者に聞く「選択の視点」(上) 神奈川

 衆院選の主な争点をめぐり、各分野の識者6人から話を聞いた。各回2人ずつ、3回にわたって紹介する。

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 □浜銀総研調査部副部長・新滝健一氏

 ■高付加価値産業の育成を

 足元の県内景気は改善の動きが広がっている。当社が先月実施した県内中堅・中小企業を対象とする調査で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値である「業況判断DI」は10年ぶりの高水準となった。特に1年前と比べて、県内で生産される新型自動車の販売が好調なことから、部材や物流面を含めて自動車関連産業が上向いている。

 現在は円高など製造業を苦しめた重しがなくなり、全体としてアベノミクスは良い方向に効果が出ている。もっとも、物価は前年比プラスで推移しているが、消費者のデフレマインドが払拭されたとは言い切れない。

 今回、衆院選の争点となっている消費増税について、財政再建の観点からは、これ以上子供や孫の世代に負担を先送りすべきではない。ただ、増税による景気停滞を大きくしない配慮は必要だ。現在みられる将来への不安の根底には、少子化問題がある。この点、安倍首相が増税分を子育て支援に充て、少子化に歯止めをかけるとしたことは評価できる。しかし、待機児童問題を考えると、本当に女性活躍をうたうならば、保育園数の充足が先決で、幼児保育の無償化はその次だろう。

 現在、4割の県内中堅・中小企業が人手不足を指摘しており、25年ぶりの高水準だ。こうした中で神奈川が日本経済をリードするためには、高付加価値産業の育成や生産性の向上などが必須となる。県内では県央地域のロボット産業や川崎・殿町地区の先端医療など、将来が期待される先端企業が多く集積されつつあり、神奈川から世界へ事業を発展させるためにも、産業育成を目指すべきで、そうした視点が必要だろう。

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【プロフィル】新滝健一

 しんたき・けんいち 慶大卒。昭和62年、横浜銀行に入行。平成2年、浜銀総合研究所に出向。18年8月から現職。県統計報告調整審議会委員(29年度)などを務めるほか、FMヨコハマの朝の情報番組で経済解説コーナーを担当するなど多方面で活躍している。53歳。

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 □葉山町長・山梨崇仁氏

 ■独自のルール作り可能に

 民泊事業者に対して都道府県知事への届け出を義務づけ、宿泊日数を年180日を上限とすることなどを定めた住宅宿泊事業法(民泊法)が来年施行される。同法の運用に関して、葉山町としてはさらに厳しい規制をしてほしいと思っている。たとえば利用者の身分確認を行ったり、事業者に対して利用者の名簿の提供を求めることも検討課題だろう。

 観光産業は国の成長戦略の柱の一つで、その重要性は十分理解している。町内にある別荘や空き家を活用したいとの声も届いている。ただし、民泊の推進により、国内外から多種多様な方々が町内を訪れることで、町の静かな環境が乱されるのではないかと不安を抱える町民が多いのも事実だ。そのためには、一定のハードルを設けることも必要ではないか。

 町の文化を理解して、雰囲気に溶け込むような形で民泊の利用者を受け入れたいのが本音だ。政府には、地域の特性に合わせて、各自治体が独自に民泊のルール作りを行うことができるよう指針を出してもらいたい。町としては、ゴミ収集のルールを理解してもらうことや、利用者と民泊オーナーが事前に面接することなども課題となるかもしれない。

 江の島(藤沢市)を舞台に開催される東京五輪のセーリング競技をめぐっては、英国と香港のチームが町内で事前合宿を行っており、オランダチームも周辺の鎌倉市で合宿をしている。町内にある企業研修所が英国のチームを受け入れ、香港とオランダのチームは民泊で対応している。町周辺にはホテルが少ないためだが、国民の審判を今回経た政権下で、民泊の円滑な運用が実現すれば、町にとってプラスになるはずだと考える。

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【プロフィル】山梨崇仁

 やまなし・たかひと 関東学院大卒。法大院修了。会社員を経て、葉山町議。2期目途中で辞職し、平成24年に町長選で初当選して現在2期目。関東学院大4年時にウインドサーフィン全日本学生選手権団体・個人で総合優勝。40歳。