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熊本地震で続く仮設孤独死 対策急務、県は事業者と連携も

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熊本地震で続く仮設孤独死 対策急務、県は事業者と連携も

 熊本地震の仮設住宅や、行政が民間の賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」で、誰にもみとられずに死亡する「孤独死」が相次いで確認され、計9人に上っている。被災者が元の生活に戻れない状態が続く中、熊本県は事業者と提携して見守り活動を始めるなど、孤独死対策を急ぐ。

 県によると、9人のうち8人がみなし仮設で暮らし、うち6人は60代以上だった。

 3月に益城町の仮設住宅で孤独死が確認された男性(61)には、町の社会福祉協議会などが運営する「地域支え合いセンター」のスタッフが週に1回は訪ねていた。だが、男性は周りとはあまり交流を図ろうとはしなかったという。

 仮設団地の自治会長、楠田登喜男さん(65)は「もっと、周りの住民も意識して、声掛けをしていればよかったのですが…」と悔やんだ。

 県によると、被災者への調査で仮設住宅と、みなし仮設で生活する65歳以上の一人暮らしは2千世帯を上回る。そこで、昨年10月以後、18市町村に、支え合いセンターを設置した。

 それでも孤独死は相次ぐ。県は新聞販売店やガス会社にも、見守り活動への協力を呼び掛けた。20業者が応じた。

 今年5月には、ボタンを押せば警備会社のスタッフが駆け付ける「緊急通報システム」の整備も始めた。

 一般社団法人「よか隊ネット熊本」(熊本市東区)は益城町からの委託で、約1550世帯のみなし仮設などを1日に20人ほどのスタッフで巡回する。

 ただ、人手不足に頭を抱える。

 江崎太郎事務局長は「入居者が広範囲に点在しており、同じ人に再びお会いするのは半年後になるケースもある」と打ち明ける。

 そうした中、住民自らも動き出した。

 仮設団地自治会長の楠田さんは、毎日、軒先に住民が黄色い旗を抜き差しし、無事を知らせる「黄色い旗運動」を始めた。

 「住民が隣近所を意識するようになり、他の団地でも同様の取り組みが広がってきた」と話す。

 やはり、孤独死を防ぐには何よりも、隣近所でお互いを知り、コミュニケーションを図れる機会を積極的に作ることがカギになる。