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藤井四段は過去の天才より強い 茨城「正論」友の会で田中寅彦九段が講演

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藤井四段は過去の天才より強い 茨城「正論」友の会で田中寅彦九段が講演

 茨城県から日本のあるべき姿を考える「茨城『正論』友の会」(会長・幡谷祐一県信用組合会長)の第11回講演会が16日、水戸市大町の県信用組合本店で開かれた。「中学生棋士・藤井聡太が羽生善治を超える日~天才棋士の育て方」と題して、元日本将棋連盟専務理事でプロ棋士の田中寅彦九段が講演し、藤井四段の強さの秘密や平成8年に史上初めて7タイトルを独占した羽生二冠との比較、天才の育成法、今後の将棋界の動向について解説した。(鴨川一也)

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 講演会には県内の市議や産経新聞の正論路線に賛同する読者、将棋ファンら約70人が参加。講演に先立ち、産経新聞社正論調査室の大野正利次長が「空前の将棋ブーム、その中心にいる中学生棋士の藤井四段について、田中九段に解説していただく」とあいさつした。

 講演で田中九段は史上最年少でプロに入った藤井四段について「若くしてプロになった棋士は他にもいるが、比べものにならないくらい強い」と称賛し、「まだ経験が浅く、(相手にも)研究され始めている。これからが本当の勝負だ。3~5年の間にはタイトルを取るのではないか」と展望した。

 また「一人の天才少年のおかげで将棋の世界が見直されてきている」と述べ、「将棋は世界に誇るべき日本文化ということを再認識してほしい」と語った。

 講演会の質疑では、子供への指導方法や将棋普及に関する質問が出た。水戸市の小学6年、武藤直彦くん(11)は「将棋を始めたばかりだけど、勉強になった。これからも真剣にやりたい」と目を輝かせていた。将棋教室をやっていた栃木県小山市の会社員、川崎裕史さん(33)は「師弟関係など将棋界の裏話も興味深かった」と話していた。

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 ■田中寅彦九段の講演要旨

 藤井四段以前にも谷川浩司九段や羽生善治二冠ら中学生でプロになった棋士が4人いた。デビュー以来29連勝という記録は過去の天才棋士たちのデビュー時とは比べものにならない強さだ。記録が途切れてから6局負けたが、勝負の世界では普通。実力者ほど相手に研究され、弱点を突かれる。進路に悩んでいるようだが、高校に進学せず、将棋の神髄を極めてほしい。

 ◆日本文化としての将棋

 世界各国に将棋のようなゲームは約100あるが、取った駒を使えるというのは日本の将棋だけで、ルールが長い間変わっていないこともその特徴だ。将棋ブームの今、世界に誇れる日本文化として再認識してほしい。

 ◆将棋を通じた人間性の教育

 将棋で一番大切なことは「負けました」と声に出して伝えること、つまり自分の失敗を認めることだ。人間は挑戦すれば失敗するし、競えば負ける。それを認め、乗り越えることで一流の人間になれる。じっくり先を読むということも今の日本に必要ではないか。

 ◆これからの将棋界

 コンピューターの普及でルールを覚えるのは容易になったが、強くなるのが難しい。将棋ブームで教室に人が集まってきているが、指せる場所や指導者が不足している。将棋を指せる人は身近なところで指導して、次の世代に引き継いでもらいたい。また、藤井四段の登場で、若手棋士たちが切磋琢磨(せっさたくま)しており、今後、将棋界はますます盛り上がるだろう。

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 茨城「正論」友の会では今後も講演会などを開催。会員を募集している。問い合わせは、茨城「正論」友の会事務局(産経新聞社水戸支局内)(電)029・221・7158。