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江の島の歴史的価値再発見を モース来日140年、藤沢で企画展

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江の島の歴史的価値再発見を モース来日140年、藤沢で企画展

 わが国の海洋生物研究の礎として江の島(藤沢市)に国内初の臨海実験所を開設し、大森貝塚(東京)の発見者としても知られる米動物学者のエドワード・モース(1838~1925年)の来日140年を記念した企画展が日本大学生物資源科学部博物館(同市)で開かれている。同博物館では「モースの業績とともに、江の島の歴史的価値も知ってもらいたい」と話している。(川上朝栄)

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 モースは明治10(1877)年に来日。同年7月に江の島で漁師小屋を改造した臨海実験所を作って海洋生物の研究を行った。

 ◆2部構成で紹介

 太平洋岸では世界初の臨海実験所で、古生代から姿がほとんど変わっていないというシャミセンガイをはじめとする相模湾の多様な生物を観察。日本の海洋生物研究の先駆けとなった。

 企画展「モースと相模湾の生き物」では、モースの優れた多岐にわたる業績の数々を展示するとともに、モースと縁の深い同湾の「生物相」の豊かさ、そしてモースの愛した明治の日本文化や郷土についても資料などを開示している。

 展示は2部構成となっており、「モースの日本滞在中に行った仕事の数々」と題した1部では、国内生物の採集旅行に学生を伴っていき、採集方法や分類法を授け、多くの学者の“卵”を育てたエピソードを紹介している。

 ◆標本や化石も展示

 また、「モースのもたらしたもの」と銘打った2部では、同湾の生物たちに魅せられたモースの直系の弟子により、研究機能と観光機能を両立させた国内初の近代的水族館「江の島水族館」が誕生したことをパネルで紹介している。

 モースが日本滞在中にスケッチした風景の中に登場する人力車や民具に加え、「生きた化石」ともいわれるシャミセンガイの標本や化石、臨海実験所のジオラマなども展示している。

 また、江の島水族館の事実上の後継施設ともいわれる新江ノ島水族館では今回の企画展に合わせて、コラボレーション展示としてシャミセンガイの「生体展示」も行っている。

 9月末まで。入館無料。開館は火曜日から土曜日で、午前10時から午後4時まで。問い合わせは同博物館(電)0466・84・3892。

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 ■江の島水族館 昭和29年7月に日本初の近代的水族館として藤沢市片瀬海岸にオープンし、平成16年1月に閉館した。同年4月にオープンした新江ノ島水族館の事実上の前身とされる。

 ■シャミセンガイ 体に2枚の殻をもち、一端から肉質の柄を出す。殻内の軟体部は複雑な筋肉系をもっており、消化管などもある。古生代前期に栄えたとされ、多くの化石種が知られているが、現生種はミドリシャミセンガイなどごく少数種のみとなっている。