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スマホで菌が見える 前橋の企業開発「ミルキン」、食中毒対策に一役

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スマホで菌が見える 前橋の企業開発「ミルキン」、食中毒対策に一役

 今月中旬以降、埼玉、群馬両県で相次いだ腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒。飲食店や家庭での衛生管理が求められる中、スマートフォンで菌が確認できる小型顕微鏡「ミルキン(見る菌)」が注目を集めている。開発した前橋市の企業は、「食品加工会社などで、衛生管理の強化目的に使ってほしい」と期待を込める。(久保まりな)

 「ミルキン」は、殺菌性の高い電解水製造装置の販売を行う「アクアシステム」(前橋市富士見町、狩野清史社長)が開発した。

 高さ約15センチ、幅約18センチ、奥行き約11センチで重さは約450グラムと小型。顕微鏡本体に、スマートフォンを置く台を付けて使用する。

 主に、食品加工会社などへの導入を想定しているが、食品をカットする機械やまな板など、汚れを確認したい部分を綿棒でこすり水を垂らして試料とし、専用台に置いたスマホのカメラ機能で菌が映し出される-という仕組みだ。作業自体は数分で終了する。

 顕微鏡の倍率は1千倍と一定だが、1ミクロン以上の菌を見ることができ、食中毒の原因とされる黄色ブドウ球菌(1ミクロン)やO157を含む大腸菌(3ミクロン)も確認できる。

 狩野社長は、「菌そのものを見てもらい、どこがどれほど汚れているかを確認できる。これにより、食品を扱う場で働く職員やパート、アルバイトなどの教育ができ、現場の衛生レベルが向上する」と説明する。

 食品に食中毒菌が含まれているか否かを確認するというより、衛生管理が行き届いているかチェックするひとつのツールとしての役割を想定しているが、6月下旬の発売以来、食品会社を中心に、既に1千台を販売する人気となっている。

 9月には東京ビッグサイトで開催される食品工場設備関連の大規模展示会に出品するほか、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への輸出も視野に入れ、PRを図っていくという。

 WHO(世界保健機関)によると、食中毒による死者は、毎年世界で約42万人に上っている。

 狩野社長は、「見えない菌に意識を向けないと(食中毒など)他人を巻き込んでしまう。衛生管理のお手伝いをし、食中毒予防にも寄与できれば」と話している。

 ◇年間1万台の販売目標

 菌の見える化を実現したミルキンは、税別9万9800円。衛生管理以外にも、歯科医院で患者に口内菌を見せる際に使用したり、不妊治療での男性患者の精子検査が自宅で行えたり、学校での理科や科学の授業への導入など、さまざまな活用方法が可能だ。現在は食品会社と歯医者への販売が主だが、今後、さまざまな分野で年間計1万台の販売を目指している。