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【かながわ元気企業】総合建設業「NENGO」

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【かながわ元気企業】
総合建設業「NENGO」

 ■地域に合ったリノベ、街の魅力高める

 空き家や空きビルなどを高いデザイン力でリノベーションし、価値を向上させて、さらに街の魅力を高めるビジネスモデルで業界に新たな風を起こしている総合建設業の「NENGO」(川崎市高津区)。「いつも目の前の人の幸せを考える」ことをモットーに、川崎をはじめ県内外の各エリアで新たな試みを進めている。

 現社長の的場敏行氏(47)は、父親が昭和58年に創業し、耐火被覆工事を主に行う会社を受け継ぎ、徐々にリノベーションや不動産業なども手がける今のビジネススタイルを確立していった。

 平成6年に父の経営するオリエンタル産業に入社すると、エコロジーなどの観点からその土地に合った断熱工事事業も新たに開始。その後は「海外では当たり前だが、日本では必ずしも定着していなかった、自分の家に強いこだわりを持つ仕組みをつくる」(的場社長)ことに邁進(まいしん)した。

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 事業の転機は以前見た米国の映画で、家にペイントするシーンがあったのがきっかけ。豪州生まれの水性ペンキ「ポーターズペイント」の日本総代理店となったという。

 もっとも、なかなかこのペンキを活用してくれる工務店がなく、「ならば自分たちでやろう」と現場監督も雇い、工務店としての事業も行えるようにした。ただ、下請けの仕事が続いたことから、不動産業も手がけることに。中古不動産の仲介とリノベーションを組み合わせ、専門チームが対応する『おんぼろ不動産マーケット』として新たなスタートを切り、この独創性が業界にインパクトを与えた。

 的場社長は「日本は長い歴史を持つ一方で、文化を大切にしていない」ことが気になっていた。ならば「日本らしさの価値を高める必要がある。それができるのが不動産事業。歴史ある日本では、その街ごとに『らしさ』があるはずで、それを追求する」ことに注力するようになる。

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 中でも川崎・日進町に7月、グランドオープンした複合施設「unico(ウニコ)」は業界内外から話題を集める。同施設は既存のビルを建て替えて再開発するのではなく、街に愛されてきた包装資材を扱う商社「ヨネヤマ」旧本社という、既存の中層ビルの外観などをほぼそのまま生かして再開発をした。

 この再開発には、街の景観を壊さずに最先端で活躍をする入居者が集う施設にすることで「日進町から世界へ情報発信する」という壮大な目標がある。ある程度の敷地があると、老朽化したビルは壊してマンションなどを建てる再開発が一般的。だが、周囲にすでに住んでいる人たちや通行する人にとって、その部分だけ外観が新しいものになるよりも、既存のビルの雰囲気を残しつつ発展させることで、かつての街のにぎわいを改めて創出できるのではないかという発想だ。

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 この取り組みには、川崎市も全面的なバックアップ体制をとっており、今後は同社で日進町の簡易宿泊所を1棟買い上げ、新たな発想の施設へと生まれ変わらせて運営。高度経済成長期の活気あふれる街だった日進町のにぎわいを、違った形で現代に復活させる構想だ。こうした、単なる改装ではなく街全体を考えた上でのリノベーションの提案から施工、必要に応じて不動産事業面での対応など一気通貫で行えるのもNENGOの強みという。

 今後については、「60歳以上のスタッフが、60歳以上のお客様にリフォームや相続対策などを提案するといったシニア層に寄り添ったサービス提供や、相談に応じる小さめな店舗の展開をはじめ、その地域に求められる戸建て住宅を建設するハウスメーカーとしての事業拡大も狙いたい」と新たな構想を明かす。

 「東京でもなく地方でもない、神奈川らしさを知り尽くしていることを武器に、事業を進めていきたい」とする一方で、「生まれ育った神奈川を大事にしたいと考えているが、地球全体を自分の故郷として大事にしていきたい」と、より大きな視点で都市開発に関わっていく考えだ。(那須慎一)

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 独創的なビジネス展開で事業拡大を図り、元気あふれる県内の4つの企業を順に紹介する。

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 ◆NENGO 本社=川崎市高津区下作延7の1の3((電)044・829・3324)▽設立=昭和58年3月▽資本金=3000万円▽従業員数=48人(平成29年5月現在)▽売上高=11億6600万円(平成28年度)▽事業内容=リノベーション事業をはじめ、断熱工事・耐火被覆工事のほか不動産事業、コンサルティング事業まで手がける