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“おいしくない病院食”イメージ払拭を 近大医学部奈良病院、農学部学生らと連携開発

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“おいしくない病院食”イメージ払拭を 近大医学部奈良病院、農学部学生らと連携開発

 近畿大医学部奈良病院(生駒市)で、入院患者に提供される「病院食」の満足度を向上させる取り組みが進んでいる。総合大学である近大の強みを生かし、県内にある農学部と連携した安全・安心な品を開発。学生のパワーで、“おいしくない病院食”のイメージ払拭を目指している。

 「ジャムの量はいいかな」。7月25日午後、同病院(518床)の厨房(ちゅうぼう)で、農学部の学生3人が、手作りのトマトジャムを次々とカップに盛りつけていた。

 午前中から仕込んだデザート「トマトのブラマンジェ」約40個は、農学部農業生産科学科の学生が奈良市にあるキャンパス内の農場で栽培したミニトマトを使用した。皮を湯むきし、子供が食べやすいように調理したのは、管理栄養士を目指す同学部食品栄養学科の学生だ。ブラマンジェの上には、オレンジのゼリー、トマトジャムを重ねた。学生が約2時間かけて完成させた冷菓は、小児病棟に入院中の子供らにこの日、おやつとして提供された。

 カロリー計算など、レシピ作りから参加した同学科4年の世古ひかりさん(21)は「1カ月間、試作を繰り返した。『入院中は食事が楽しみ』と聞くので、自分の就職後も見据えて、チャレンジしたかった」と話す。

 「ぜひ食べてくださいね」と記したメッセージカードも添えられた。おやつを食べた入院中の男児(1)の母親は「トマトは苦手なのに、これはぱくぱく食べた」と喜んだ。

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 同病院が病院食の向上に取り組み出したのは昨年6月。同年4月の診療報酬改定で、病院食の患者負担が1食あたり260円から360円に上がったことがきっかけだ。患者負担が増える分、より食事の質を上げようと同病院は農学部と連携し、「食事満足度向上プログラム」をスタートさせた。

 プログラムでは、農学部の学生が栽培した農作物を病院の献立に取り入れ、調理も学生が行うことで安心・安全をアピールする。7月に提供されたデザートに使ったトマトは農学部が無償提供、調理する学生もボランティアだという。年数回の食事提供を計画し、夏祭りやクリスマスイベントなどにも学生が参加して盛り上げる予定だ。

 農学部の木戸慎介准教授(臨床栄養学)は、「病院食予算には限りがあり、食材費をかけただけで食事の満足度を上げることは難しい」と指摘する。その上で、「学内病院なので、農学部や農場のハード面と、学生の力というソフト面を生かすのが目標。かつてのおいしくない病院食のイメージを払拭するアプローチをしたい」と話した。