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【九州豪雨】自宅被害の6人家族 避難生活で「絆」再確認 新築時の写真見つめ前へ

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【九州豪雨】
自宅被害の6人家族 避難生活で「絆」再確認 新築時の写真見つめ前へ

避難生活を送る石井さん一家。自宅の写真を手に復興への思いを新たにしている(志儀駒貴撮影) 避難生活を送る石井さん一家。自宅の写真を手に復興への思いを新たにしている(志儀駒貴撮影)

 九州北部を襲った記録的な豪雨は発生から12日目を迎えた。甚大な被害を受けた福岡県朝倉市では今も多くの被災者が避難所生活を強いられている。

 同市杷木(はき)古賀の建設業、石井健一朗さん(44)は3年前に建てたばかりの自宅に大量の土砂が流れ込み、一家6人が一時離ればなれになった。避難所生活を送りながら、家族の絆の大切さをかみしめる。再建の見通しは立たないが、自宅からかろうじて持ち出した新築当時の写真を見つめ、復興への思いを新たにしている。

 石井さん一家は、健一朗さんと妻の美香さん(44)、4人の子供の6人家族だ。豪雨に見舞われた5日、健一朗さんと長男で会社員の丈一朗さん(19)、小学6年の三女、陽(みなみ)さん(12)の3人が自宅で孤立してしまった。

 家の前にあった橋は水没し、自宅1階には濁流が押し寄せ、2階に避難した。周辺の家は次々と流され、健一朗さんたちも「身の危険を感じた」。ラジオで情報収集をしたものの、停電で電気もつかず、ろうそくを灯して一夜を明かした。

 自分たちの安全もままならない状態だったが、心配だったのはほかの家族だ。充電が切れて携帯電話も使えず、健一朗さんら3人は身を寄せ合いながら、ひたすら案じていた。

 幸い、美香さんは近くの高校に避難していた。長女の高校3年、星(あかり)さん(18)と次女の高校1年、月(ひかり)さん(15)も親類宅に避難して無事だった。健一朗さんらは翌朝、水が引いた後に自宅を脱出し、家族と再会した。美香さんは「みんなの姿を見たときは、言葉にならなかった」と振り返る。

 周辺では、流された家も多く、健一朗さんを子供の頃からかわいがってくれた男性も行方不明のままだ。

 連日の暑さの中、避難所生活は不便で苦しいが、健一朗さんは「つらいのはみんな同じ」と語る。健一朗さんは被災後に一時帰宅し、3年前の春に新築したばかりの自宅と桜が写った思い出の写真を持ち出した。

 生活再建のめどはたたないが、健一朗さんは「避難所では、今までにないほど家族と一緒に過ごす時間が長い。毎日いろんな話をして、みんなで笑いあえる。家族のありがたさに改めて気がついた。いつかまた、この写真の頃のような、幸せな日常が訪れるはず」と前を向いていた。