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【Zoom東北】岩手発 金ケ崎の国道4号4車線化 本格復興に寄与

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【Zoom東北】
岩手発 金ケ崎の国道4号4車線化 本格復興に寄与

 東日本大震災からの本格復興に向けて、沿岸被災地から内陸に100キロ以上も離れた岩手県金ケ崎町の国道4号を4車線化する「金ケ崎拡幅」の早期着工に注目が集まっている。トヨタ自動車東日本岩手工場が立地する金ケ崎町とその周辺には自動車関連産業が集積。東北道・秋田道・釜石道にも近く物流拠点も数多く立地しており、拡幅による利便性向上が両関連産業の一層の集積に拍車をかけ、被災地への経済波及効果も期待できるからだ。(石田征広)

 ◆自動車産業が集積

 国道4号の拡幅は金ケ崎町の四半世紀以上前からの悲願だ。国道4号の西側にある岩手中部工業団地はトヨタ東日本岩手工場など23社の有力企業が立地し、約5500人の従業員を数える。通勤のほか自動車部品を運ぶ10トントラックが1日約380台、完成車を運ぶキャリアカーが1日約210台走る2車線の国道4号は渋滞が多発してきた。

 解消の切り札は拡幅による4車線化だが、公共事業費の削減で事業化のハードルは高かった。国土交通省の道路予算は災害被災地を中心に自動車専用の高規格道路に多くが振り向けられ、一般国道のバイパスや拡幅の事業化は年々厳しくなっていた。しかし、国交省は今年度、金ケ崎町内の国道4号約5・2キロを4車線化する金ケ崎拡幅に調査設計費5千万円を計上した。

 事業化の実現について、「(4車線化に伴う)自動車や物流などの産業振興のストック効果に加え、地元の情熱が功を奏した」と話すのは国交省岩手河川国道事務所の十枝内(としない)美範副所長(道路担当)。

 金ケ崎町の平成26年の工業出荷額は5123億円。人口わずか1万6千人の町なのに県内トップだ。東北でも6位。自動車関連で一体的な経済圏を構成するお隣の北上市と奥州市を加えると約1兆1千億円で、東北1位の仙台市に匹敵する。4車線化による利便性向上が産業振興に与える影響は計り知れない。

 4車線化を推進してきた地元の「一般国道4号金ケ崎区間4車線拡幅整備事業促進期成同盟会」の努力も見逃せない。この種の組織は一般的に自治体が中心だが、この期成同盟会には沿線の9つの自治会長が会員として名を連ね、岩手中部工業団地の最寄の自治会長が歴代会長を務めている。

 道路拡幅で最大のネックは用地買収。沿線の自治会長の参加で用地買収に全面協力する姿勢を示し、実績も残してきた。国道4号から岩手中部工業団地に最も近い三ケ尻交差点の改良工事だ。東北道・北上金ケ崎IC方面から国道4号を南下、右折で工業団地に向かう車両による混雑を解消するのが目的だった。

 ◆用地買収順調に

 地元の全面協力で用地買収が順調に進み、右折レーン2車線と左折レーン1車線を確保する道路拡幅(延長500メートル)を含む改良工事は通常より2年以上早い5年で完了。28年3月末からの供用開始で交差点の混雑を解消した。予算が順調につけば金ケ崎拡幅は早期完成も期待できる状況だ。

 しかし、総事業費約95億円という金ケ崎拡幅に30年度以降どれだけ予算がつくかは不透明だ。「来年度以降、5年で完成させてほしい。毎年20億円投入すれば5年で完成する。東日本大震災の被災地の本格復興にもつながる」と力説するのは高橋由一町長。

 津波被災地を南北に結ぶ沿岸道路、内陸と沿岸を結ぶ復興道路の整備が急ピッチで、自動車用鋼板や部品は釜石港の利用が増え、物流関係企業の進出も相次いでいる。約5・2キロの国道拡幅が内陸の生産活動を刺激、これが沿岸に雇用も生むという考え方で、30年度以降の事業の進捗(しんちょく)に目が離せなくなった。