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夏の風物詩・鎌倉花火大会 二転三転も…19日開催 神奈川

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夏の風物詩・鎌倉花火大会 二転三転も…19日開催 神奈川

 ■雇い止め疑惑発端 市観光協会は人事刷新

 毎年約15万人の人手でにぎわう夏の風物詩・鎌倉花火大会。69回目を迎える今回は、大会事務局を担っていた鎌倉市観光協会で職員の労働契約をめぐる問題が明らかになり、4月に中止が発表された。そのわずか11日後、市が改めて今月19日の開催を発表するなど、対応が二転三転。協会も役員人事を刷新するなど“出直し”を図っており、花火大会をめぐる騒動は“最終局面”を迎えつつある。

 「(今年の花火大会は)裏方で協力させてもらう」。6月28日、市内のホテルで記者会見した協会新会長の大森道明氏はこう述べるにとどまった。

 ◆予算ストップ

 協会をめぐる騒動は9カ月前にさかのぼる。昨年9月、市が協会に業務委託している観光案内所のパートタイム職員9人が契約更新されなかったことが明らかになり、市議会が「労働契約法で禁止されている『正当な理由のない雇い止め』の疑いがある」と追及。これに対して協会側は「問題ない」との姿勢を崩さず、市議会が求めていた、就業規則や理事会議事録の提出を拒否する事態に発展した。

 しびれを切らした市議会は「予算審議ができない」として今年3月、協会への補助金約4670万円を削減する一般会計予算案の修正案を可決し、協会は存続の危機に陥った。

 騒動は花火大会にも“飛び火”した。資金不足に陥った協会は4月10日、「花火大会の開催時期まで協会が存続しているか分からず、責任を果たすことができない」と、大会実行委員会を退会。昭和23年から続いていた伝統の花火大会は台風など天候不良や震災を除いて初めて中止が決まったのだった。

 ◆市民の口コミで

 いったん中止が決まった花火大会だったが同21日、事態が急転する。

 松尾崇市長が市の主催で当初の予定と同じ7月19日に大会を実施すると発表。松尾市長は記者会見で「残念がる声が多数あり、何とか開催したいとの思いで模索した」と述べた。

 大会予算の約4千万円は企業からの協賛金に加え、インターネットを通じて資金を調達する「クラウドファンディング」で1千万円を集める方針を決め、6月1日に目標を達成。会員制交流サイト(SNS)や市民の口コミなどで広がりをみせ、最終的に寄付者は600人を超えた。

 一方、資金繰り悪化に陥っていた協会は5月半ばに市側へ議事録を提出。協会から市議会に臨時会開催を申し入れし、市議会も削除された補助金額と同額を補正予算案に盛り込み、可決した。

 ◆透明性を確保

 協会は役員の入れ替えにも着手し、会長を10年間続けていた井手太一氏が退任して、副会長の大森氏が新会長に選任された。理事22人のうち15人が新任され、市幹部や学識経験者も新しく加わった。大森氏は「透明性を確保した。“オール鎌倉”で改革を目指す」と説明するなど、刷新をアピールしている。

 しかし、市民の間からも「混乱の原因」とされる協会に対する不信感はぬぐい切れていないのが現状で、「市とのパイプが細く、組織内の風通しも悪かった」(中山一彦専務理事)と自戒する。「市内が観光客であふれかえる」との懸念が高まる東京五輪・パラリンピックの開催を3年後に控え、協会がどのような役割を果たしていくのかが注目される。

                   ◇

【用語解説】鎌倉市観光協会

 昭和25年に発足。「鎌倉花火大会」や「鎌倉まつり」「鎌倉薪能」など観光を通じて鎌倉の活性化につながる事業を展開する。また、新たな鎌倉観光の方向性を見据え、鎌倉の魅力を発信している。「武家の古都 鎌倉」の歴史と文化を守り、地域とともに国際観光都市づくりに貢献することを事業理念としている。