産経ニュース

ニホンジカ対策、転換期 警戒心強まり捕獲目標届かず 長野

地方 地方

記事詳細

更新


ニホンジカ対策、転換期 警戒心強まり捕獲目標届かず 長野

 野生鳥獣による農林業への被害を食い止めようと、県が実施しているニホンジカの捕獲対策が、転換期を迎えている。鹿の警戒心が強まったため、従来の対策では有効性が担保できず、捕獲目標を達成できないためだ。捕獲頭数が目標を達成できなければ、今後、農産物の食害による被害が増大する懸念がある。県は夜間捕獲などの取り組みに乗り出し、野生鳥獣の適正な生息数を維持する考えだ。(三宅真太郎)

 県鳥獣対策・ジビエ振興室によると、平成に入って以降、鹿の数は徐々に増えており、農林業被害も3年には20億円を超えた。このため、県は19年、被害の深刻化を食い止めようと、知事をトップとする「野生鳥獣被害対策本部」を設置し、本格的な捕獲対策に乗り出した。

 対策は一定の成果を出し、ニホンジカの捕獲頭数は、18~22年の5年間で、目標の4万1500頭を大きく上回る7万3562頭。23~27年も17万1889頭で目標とした17万頭を達成した。捕獲数に応じて農林業被害の額も減少している。

 だが、単年度で見ると、27、28両年度は、捕獲目標を達成できず、特に、28年度に捕獲されたニホンジカの頭数は、目標の64%にあたる2万5733頭に過ぎなかった。このうち、個体数の調整に重要な意味のある雌の捕獲頭数は、1万4878頭と2年連続で減少した。

 28年度の被害額は前年比7・6%減の3億4500万円だったが、捕獲目標を達成できない状況が続けば、今後、被害額が増大する可能性もある。実際、八ケ岳周辺の地域では、推定生息頭数が増えているのに、捕獲実績は減少傾向にある。

 目標が達成できない背景には、警戒心が強くなった「スレジカ」の増加があるとみられ、県は今年度から、鹿の警戒心が弱まる夜間の銃猟のほか、餌で鹿をおびき寄せて狙撃するなど新たな捕獲対策を実施。対策の有効性を専門家に検証してもらうほか、GPS(衛星利用測位システム)による生息域調査なども行う。

 県内のハンター(狩猟者)が減少し、高齢化が進行している事情も大きい。昭和50年代に約2万7千人だった狩猟者の登録者数は、平成26年には5856人に減少しており、60歳以上は約7割を占める。

 県鳥獣対策・ジビエ振興室の佐藤繁室長は「従来の捕獲を見直す時期に来ている。鹿に警戒心を持たせない方法を探りたい」と話している。