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上尾の障害者施設、車内で男性死亡 安否確認に手抜かり 埼玉県、再発防止策の必要性強調

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上尾の障害者施設、車内で男性死亡 安否確認に手抜かり 埼玉県、再発防止策の必要性強調

 上尾市戸崎の障害者支援施設「コスモス・アース」で送迎車に取り残された知的障害のある同市の男性(19)が熱中症とみられる症状で死亡した事故で、男性の不在に気付きながら安否確認をしなかった理由について、同施設の大塚健司管理者(75)は14日の県の聞き取り調査に「遅刻したり欠席したりする利用者がいるため見過ごしてしまった」と説明した。県は「安否確認を徹底するための対応が必要だ」と再発防止策の必要性を強調している。(宮野佳幸、川上響)

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県によると、同施設では1日に計6回、利用者数を目視などで把握する機会を設けていたが、「しっかり確認していたかは疑問がある」という。確認方法は事実上、各事業所に任せられている。行政処分については、営業停止や新規受け入れ停止などの可能性があるが、調査を継続した上で判断する。

 男性は同施設で紙などの分別作業を行うリサイクルのグループに所属。運動能力については「物理的な介助は必要ない」としており、自力歩行は可能だった。同施設に来る際、朝に睡眠導入剤を飲んでいたという。

 約6時間も炎天下の車内に取り残された男性が発見されたのは、閉所間際。3列シートの一番後ろの座席で倒れているのを運転手が見つけた。

 痛ましい事故の内容に、関係者や付近の住民からは悲しみや驚きの声が上がった。利用者の保護者とみられる女性は「心が痛みます」と言葉少なに語った。近くに住む無職女性(79)は「上尾は暑いので、車の中に残されたら大変なことになる」と驚いた様子で話した。

 14日も同施設には多くの利用者が訪れていた。施設の利用が始まる前に、母親とみられる女性らに手を引かれながら足早に施設へと入っていく利用者らの姿が見られた。

 県の立ち入り調査は同日午前8時40分ごろ開始。障害者支援課と福祉監査課の職員計5人が同施設内だけでなく、駐車場に止められた車なども調べ、約1時間半後に施設を後にした。

 上尾署では、男性が発見された車の捜査を実施。午後には同署員が同施設を訪れ、関係者に事情を聴いていた。司法解剖の結果、死因は熱中症とみられるという。