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風評払拭し“豊島”取り戻す 産廃撤去終えみかんなどブランド化へ 香川

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風評払拭し“豊島”取り戻す 産廃撤去終えみかんなどブランド化へ 香川

 3月下旬に不法投棄された産業廃棄物が全て撤去された瀬戸内海の豊島(香川県土庄町)。今月12日には近くの直島(直島町)での無害化処理も終わった。平成2年に問題が表面化して以来、風評被害と闘ってきた地元の農家は、「豊島みかん」のブランド復活やイチゴの特産品化を目指し、奮闘を続けている。

 「昭和初期に父親が山を開墾し、豊島みかんの歴史が始まった」。山本彰治さん(84)は振り返る。雨が少なく、日照時間が長いため甘みが強い。だが産廃問題が報じられ、卸売業者は「この名前じゃ売れん」と豊島の名を伏せるよう求めた。

 「処分地から10キロ離れている。大丈夫だ」と食い下がったがかなわず、「豊島みかん」と書かれた箱を庭に投げ捨てた。

 以来、「小豆島みかん」として販売してきたが、5年前からネット販売で「豊島」名に戻した。「豊島で育ったから、やっぱり豊島みかん。この根は絶やさない」。完全復活にも意欲を燃やす。

 県や地元農協の後押しを受け、平成11年には新たな特産品化を目標にイチゴ栽培が始まったが、やはり産廃のイメージが妨げとなった。

 「こんなのを売って、被害者から加害者になるつもりか」。農家の多田初さん(52)は14年ごろに遠方の消費者から受けたクレームが忘れられない。ブランド名は小豆島だが、産地には豊島と記載されている。「今の福島と同じような風評被害に苦しんだ」と振り返る。

 豊島の状況を丁寧に説明することで、得意客もできてきた。「豊島の名前から逃げたら駄目だ。産廃と闘ったことを伝えるのが島の住民の使命」。多田さんは島内で「豊島イチゴ」として販売をスタートさせている。