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刀剣ブーム、九州への集客の「武器」に

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刀剣ブーム、九州への集客の「武器」に

 福岡市は、西区の元岡古墳群(7世紀)から出土し、19文字の銘文が象眼された鉄製大刀を復元した。10日から市埋蔵文化財センター(博多区)で展示する。名刀をイケメンに擬人化したゲームの影響で、九州の博物館でも、刀剣目当ての若い女性が引きも切らない。根強い刀剣ブームを逃すまいと、各施設は魅力の発信に力を入れる。(高瀬真由子)

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 福岡市が復元した大刀には、西暦570年を示すとみられる干(え)支(と)「庚寅(こういん=かのえとら)」などの文字が記されていた。長さ75センチで、九州大伊都キャンパス内の古墳から、平成23年に出土した。刀剣に金象眼が見つかったのは国内3例目で、考古学上の大きな発見として話題となった。

 金象眼の再現は、熊本県の伝統工芸「肥後象眼」の職人、稲田憲太郎氏が担当した。

 市埋蔵文化財センターの大庭康時所長は「刀の狭い部分に象眼を入れるのは難しく、当時として最先端の技術で文字が打ち込まれている。その文字を伝統的な技法で復元したところに注目してほしい」と魅力を語った。

 福岡市の高島宗一郎市長は「(金象眼の)過去の2例は、国宝や国宝指定の見込みという貴重なもの。福岡で刀といえば福岡市博物館の『圧切長谷部(へしきりはせべ)』(注1)が有名だが、それより1千年近く前にも、重要なものがあった」とPRした。25日まで展示する。

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 刀剣に関心を寄せる若い女性が増加した。

 日本刀を擬人化した美男子が戦うインターネットゲーム「刀剣乱舞」が、きっかけだ。今回の大刀復元は、ブームを意識したものではないが、関係者は幅広い世代が訪れることを期待する。

 刀剣を展示する各地の博物館では、ゲームがヒットした2年前から、女性の来場者が一定の割合を占めるようになった。

 熊本県玉名市立歴史博物館こころピアは、玉名地域の日本刀で、熊本城の常備刀にもなった「同田貫(どうだぬき)」(注2)を展示する。今年2月に催した関連イベントでは、訪れた人の9割が若い女性だった。

 最近では「刀剣乱舞」のアニメ化もあり、中国、台湾、インドネシアなど海外からの来場もあるという。

 イベントを担当した同館係長の兵谷有利氏は「ゲームをきっかけに、本当に刀好きになった女性も来ている。一つの刀を3時間眺める人もいる。全国の博物館は、刀剣を眠らせることがなくなったのではないか」と語った。

 九州国立博物館(福岡県太宰府市)も、豊後国(大分県)の刀工が作った刀や同田貫などを昨年以降、計11回展示した。

 平成27年に国宝太刀「銘筑州住左(江雪左文字)」(注3)など国内有数の刀剣コレクションを特別展示した際は、刀剣女子とみられる女性が「左文字さまはどこですか」と尋ねる姿が見られたという。

 広報課は「博物館のツイッターで刀剣を紹介したときは反応が良い。こうしたツールを使って、若い女性が情報を共有している」と話す。

 若い女性の集客を狙って、イベントを仕掛ける博物館もある。

 「圧切長谷部」を毎年1、2月に展示する福岡市博物館。今年は「刀剣乱舞」とのコラボレーションを企画した。描き下ろしイラストやキャラクターの等身大パネルを展示し、関連グッズを販売した。期間中、約2万1千人の来場者を記録した。