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車いすでも着物を 滋賀県内外の美容師、技術学ぶ 多賀で講座

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車いすでも着物を 滋賀県内外の美容師、技術学ぶ 多賀で講座

 ◆座ったまま着付け

 車いすで着物を楽しんで-。車いすに座ったままの人に着付けをする「着付師」の育成が進んでいる。NPO法人日本理美容福祉協会(東京都)が昨年に資格を創設。今年から全国で講師の養成講座を開催することにし、第1回目の講座が多賀町で開かれた。県内で講師として活動する仲谷由美子さん(49)は「母親からもらった着物など、思い出の晴れ着を車いすで楽しんでもらう人を増やしたい」と意気込む。

 講習会では、同協会の滋賀米原センター長でもある仲谷さんら3人が講師を務めた。県内外の美容師7人が参加した。

 着付けは、車いすから降りずに着ることはもちろん、体を極力動かさないようにすることを主眼に置く。車いすに長襦袢(じゅばん)と着物を置き、その上に座ってもらい、順番に着せていく。

 車いすに座った状態で着付けるため、帯を巻いて結ぶことはできない。そのため、帯結びはあらかじめ結んで形を作った状態にしておき、車いすの背もたれからのぞく位置に取り付ける。帯結びの形は特殊なクリップを使って整える。

 クリップは背中に当たっても痛くないよう、和紙で作っているなど工夫を凝らしている。大切な着物が汚れないよう、車輪に袋をかぶせるなどの注意も忘れない。ほとんどの着物を着ることができる点が特徴で、家に残る思い出の着物などを楽しむことができるという。

 愛知県美浜町から訪れた美容師、江本みどりさん(58)は「車いすで着物を着られることを知らない人がたくさんいると思う。技術を身につけて積極的にやりたい」と話していた。

 仲谷さんは「成人式の振り袖や冠婚葬祭の着物など、晴れ着を車いすのためにあきらめる人がいると思う」とし「自分が着たい着物を着てもらえたら」と話す。これまで着付けた人は高齢者が多く「施設に入っても着物を着られるとは思わなかった」などと涙を流した女性もいるという。

 同協会によると、着付師の資格を取ったのは全国で約70人。県内では約10人といい、講座などを通して、資格者を増やしていく方針だ。仲谷さんは「車いすだから、と着物をあきらめてほしくない。着付けの方法は、慣れればそれほど難しくない。多くの人に着物を楽しんでもらいたい」と力を込める。

 問い合わせは滋賀米原センター(電)0749・58・1566。