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茅ケ崎市美術館で「自転車」展 19世紀の誕生から未来の姿まで 神奈川

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茅ケ崎市美術館で「自転車」展 19世紀の誕生から未来の姿まで 神奈川

 自転車専用道の整備やシェアサイクルの普及など「人と環境にやさしい自転車のまち」を掲げ、「ちがさき自転車プラン」を進める茅ケ崎市の市制70周年記念企画展「自転車の世紀」が市美術館(同市東海岸北)で開催されている。19世紀に欧州で製造された前輪が大型化した初期自転車から最新のスポーツ用自転車、機能性の高いサイクルウエアなど約120点を展示。人々の生活に劇的な変化をもたらした自転車の歴史と未来の姿をひもといている。 (川上朝栄)

 欧州で自転車が登場した19世紀初頭、足で地面を蹴って進むものが主流だったが、その後に改良が進み、ペダルが開発される。同中期にはペダル1回転でスピードを高めるために、前輪が巨大化した「オーディナリー型自転車」が登場した。

 ◆時代の最先端に

 ただし重心が不安定で、急ブレーキをかけた場合、運転者が前に放り出される事故も相次ぐなど、危険が伴う乗り物だったという。同後期には、チェーンによって駆動する方法が開発され、車輪が小型化。安全性の高い自転車が主流となった。

 会場にはフランスのルネ・エルスが製作し、その美しさから「パリの宝石」と称された自転車「ロンシャン」も並ぶ。エントランスには市内に工房を構えるサイクル・アーティストの谷信雪氏が、天使が舞い降りるイメージで製作した「羽根付き自転車」なども展示した。

 19世紀末には自転車が「時代の最先端を象徴する乗り物」だったことから、着飾った女性が自転車を乗りこなす姿を描いたポスターも多く、日本では明治初頭の日本橋を行き交う人々の様子を描いた錦絵に、外国人らしき男性が自転車に乗る姿が見られる。

 企画展では自転車が描かれた海外のポスターや錦絵など10点も展示。渡辺航さん作の人気漫画「弱虫ペダル」の複製原画16点やイラストも掲げられている。

 ◆ゆかりの深いまち

 ビジネスやファッションにおける自転車の活用事例も紹介。ビジネスシーンでも違和感がなく、通気性や撥水(はっすい)性に富んだ最新のサイクルウエアや頭部を保護する機能を持った自転車用エアバッグについてもパネル展示している。

 また、英ロンドンで取り組んでいる、まちの中心部から自動車の流入を排除し、自転車と歩行者だけが入れるような試みや、自転車専用道に太陽光パネルを埋め込み発電するオランダのケースなど、海外の最新事例も紹介している。

 同美術館の担当者によると、茅ケ崎市にはかつて旧宮田工業(現ミヤタサイクル)の自転車工場があり、明治時代には市内で自転車レースが開催されたという。湘南の海沿いを走る自転車愛好家も多く、「企画展を通じ、自転車とゆかりの深いまちということもアピールしたい」としている。

 6月4日まで。開館時間は午前10時~午後6時。月曜休館。観覧料一般700円など。問い合わせは同美術館(電)0467・88・1177。

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【用語解説】ちがさき自転車プラン

 平らな地形から茅ケ崎市内は自転車利用者が多く、市では平成16年から自転車が走りやすい環境づくりに本格的に取り組んでいる。市民が外出する際に自転車を使用する割合は23.0%(20年)と県平均(12.8%)の約2倍となっており、専用レーンの設置や駐輪場の整備、レンタサイクルの普及、安全講習会、ツーリング大会なども開催している。