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南あわじ入田稲荷前遺跡で弥生時代の渡来銭3枚出土 「海上交易示す重要史料」 兵庫

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南あわじ入田稲荷前遺跡で弥生時代の渡来銭3枚出土 「海上交易示す重要史料」 兵庫

入田稲荷前遺跡で出土した渡来銭の貨泉=18日、南あわじ市役所 入田稲荷前遺跡で出土した渡来銭の貨泉=18日、南あわじ市役所

 南あわじ市八木入田の入田稲荷前(いりたいなりまえ)遺跡で、弥生時代に中国からもたらされたとみられる青銅製の渡来銭「貨泉(かせん)」3枚が重なった状態で出土し、同市教委が18日、発表した。貨泉は全国各地で見つかっているが、3枚同時に発掘されるのは珍しく、市教委は「渡来人との交易もうかがわせ、弥生時代の流通を考えるうえで畿内への玄関口となる淡路島が海上交易の要所だったことを後押しする重要な史料」とした。

 貨泉は中国の新(紀元8~23年)の時代に誕生した貨幣で、鋳造年代が短期間であることから年代特定の重要な指標とされる。多くは新以後の後漢時代に民間で鋳造されたため、国内では弥生時代後期後半~古墳時代初頭の遺跡から多く出土している。

 市教委によると、国内では北海道から沖縄県まで全国で約180点が確認され、県内でも7遺跡で10点が発見されている。一度に複数枚出土したのは高塚遺跡(岡山市)の25点、元岡・桑原遺跡群(福岡市)の8点に次いで全国で3番目で、県内では最多という。

 ほ場整備のため入田稲荷前遺跡内の150カ所を調査したところ、昨年12月1日に重機で掘削中、深さ約65センチの土中から3枚が重なった状態で出土した。直径2・27~2・32センチ、重量1・45~2・53グラムで大きさや重さから後漢初頭に鋳造されたものとみられる。奈良から鎌倉時代にかけての遺物を含む層から見つかっているが、3枚がまとまって出土したことから、市教委は弥生時代後期の遺構から流入したとみている。

 中央に四角の穴が開いており、3枚が重なった状態で見つかったことから、ひもを通して束ねる「さし銭」の状態だった可能性もあるという。弥生時代は貨幣経済があったとは考えられておらず、交易品や権威を示す威信財、青銅器の材料などとして持ち込まれたと考えられている。

 関西大大学院の森岡秀人非常勤講師(考古学)は「淡路島では南あわじ市で弥生時代の松帆銅鐸(どうたく)が7個、淡路市の舟木遺跡で中国鏡の破片などが出土している。今回の貨泉でさまざまな青銅器が早い時期に淡路島に伝来している公算が大きくなった。淡路島が弥生時代の金属器文化に鋭敏だったことを明らかにするものだ」としている。

 市教委は今後残りの確認調査を行うとともに、来年度から本調査に入る。貨泉は20日から7月2日まで南あわじ市松帆西路の滝川記念美術館玉青館で一般公開される。問い合わせは玉青館(電)0799・36・2314。

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