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群馬県民の26%「年1回」なのに「すき焼き県」4年目の挑戦 動画やPRソング…効果は未知数

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群馬県民の26%「年1回」なのに「すき焼き県」4年目の挑戦 動画やPRソング…効果は未知数

 ■ライバルは「おさかな天国」!?

 県が平成26年9月に「すき焼き応援県」宣言をして今年は4年目。すき焼きなど鍋料理はオフシーズンに入るが、「春夏は秋以降の本番への仕込み時期」(農政部ブランド推進課)と「ぐんまのすき焼き」PV(プロモーションビデオ)の長尺版(約3分)を3月末にインターネット上で公開、PRソングを作るなど新たな作戦で浸透を図る。

 県は「県産具材百パーセントでおいしいすき焼きができる。郷土料理『おっきりこみ』は家庭料理だが、すき焼きは『おもてなし』料理として、アピールしている」という。

 そこには、すき焼きの主役となる上州和牛のブランド力向上という思惑がある。5年に1度開催の和牛品評会「全国和牛能力共進会」で24年、上州和牛が初めて5位にランクインしたのも「宣言」のきっかけのひとつとみられる。26年5月、上州和牛は国内産で初めて欧州連合(EU)への輸出認定を受けるなど評価が高まり、同課は今年9月開催の共進会でさらに上位になることを期待する。

 とはいえ、応援宣言以降、常に「なぜ群馬がすき焼きなのか」という疑問がつきまとう。

 宣言の翌27年5~6月に県が実施した県民意識調査では、すき焼きへの取り組みを知っていたのは21・2%。すき焼きを食べる頻度も半年に1回が最多で27・8%、1年に1回が26・3%と県民にとってすき焼きが身近な料理にはなっていない現実が浮かび上がった。その後の意識調査はしておらず、浸透度が上がったかどうかは不明だ。

 総務省家計調査(26~28年平均)では、県庁所在地と政令指定都市を合わせた全国52市で、前橋市の牛肉消費は金額で年1万261円の50位、数量で年3582グラムの51位(最下位はいずれも新潟)。すき焼きプロジェクトが牛肉消費につながっているとは思えない。

 「それでも、キャンペーン賛同企業は当初の倍近い217社に増えた。昨年開催したすき焼き弁当コンテストでは入賞メニューの4品が売り出されるなど、行政主導ではない広がりは着実に出ている」とブランド推進課は強調する。

 新たに作ったPR動画のバックに「スキスキスキスキ すき焼き グングン ぐんまのすき焼き~」という軽快な歌声が流れる。同課は今後、歌と動画の入ったDVDを県内のスーパーなどに配布する予定で、この歌が3年に制作、魚食普及PRソングとして大ヒットした「おさかな天国」並みに話題にならないか、と大きな期待を寄せる。

 26年11月、県主催のすき焼きシンポジウムに出席した東京・浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の住吉史彦社長は「地元産品振興のため行政が動画を作ったり、短期間に結果を出したがるのは理解できるが、まずは地道においしいすき焼きを宣伝すべきだろう」と指摘した上で、「コンテストですき焼きのおいしさを訴えるなど時間がかかっても続けていくことだ」と話す。

 県は今年に入って地元産すき焼き具材が主人公のアニメ「スキヤキフォース」(群馬テレビ)に協力するなどもしているが、PR動画(長尺版)は21日現在、再生回数300回台で、「おさかな天国」超えは先になりそうだ。