産経ニュース

九州「正論」懇話会 トランプ氏、資本主義への信頼再構築

地方 地方

記事詳細

更新


九州「正論」懇話会 トランプ氏、資本主義への信頼再構築

 ■国際政治学者・三浦瑠麗氏が講演

 西鉄グランドホテル(福岡市中央区)で21日に開かれた九州「正論」懇話会。国際政治学者の三浦瑠麗(るり)氏は、トランプ米大統領について「資本主義への信頼再構築を、進めているのではないか」と解説した。講演の主な内容は以下の通り。

 トランプ氏は大統領選で偶然、当選したのではありません。緻密に設計された戦略があったのです。

 グローバリゼーションが進展し、資本家が多くの富を稼ぎ出す一方、普通に生きている中産階級は給料が下がり、不満が生じた。

 トランプ陣営は、保守的な社会政策を維持する一方で、政府が経済に介入しない状況を止めようとしました。ある程度ばらまきが必要なんじゃないかと。合理的な戦略です。

 トランプ氏についてメディアの報道は「アメリカ・ファーストと叫んでいる」という点で止まっていました。彼が冷戦後の米国外交を振り返り、「問題がある」と提示したことは、評価されていません。

 彼は、国力の基盤は経済力と言いました。しかし、経済力は中国が強くなり、相対的に米国の地位が低下している。

 同盟国の「ただ乗り」批判もありました。これは日本や韓国を意味します。一方、中東で自力で国を守り、「アメリカさん、守ってください」なんて決して言わないイスラエルを、なぜ(米国が)守らないのかと言っているわけです。

 だから、トランプ氏になって中東政策は劇的に転換しました。

 (冷戦後の米国外交の)一番の問題は、目的がはっきりしないという指摘です。1991年に湾岸戦争が起こってから四半世紀、外交の目的はなかったと喝破したわけです。

 評価に値する指摘です。私は国際政治学者として賛同します。

 じゃあ、どう外交の目的を定義するか。トランプ氏が考えたのはまず、脅威認識です。そこをイスラム過激主義に置いたわけです。

 今、イスラム過激主義者だけが、米国にぬぐい去りがたい不信感と敵意を抱いている。

 中国との関係はどうか。主戦場は経済分野です。つまり軍事的には、脅威ではない。

 なぜそうなるかというと、米国と中国の関係は、宇宙空間の軍事利用や、サイバー戦争など高次の領域に移っている。中国は宇宙開発にかなりの資源を割いている。

 米国はこうした高次の領域で優位性を維持すれば良い。だから、主戦場は経済分野になるのです。

 そして、「平和即ち民主化ではない」と、この政権は思っている。

 さらに国益の再定義が行われようとしています。技術革新や、時代の趨(すう)勢(せい)に合わせた再定義です。

 この10年、20年、民衆が資本主義への信頼を失った。トランプ氏は、鎖国でも、主権国家を捨てるのでもなく、資本主義への信頼を再構築しようとしているのかもしれません。

                 × × ×

 日本との会談は予想外に良い出来でした。ホームランです。対立点が生じていないことが重要です。

 シリアへのミサイル発射がありました。これは報復です。日本のメディアは、シリアと北朝鮮問題をリンクして論じますが、それは誤っています。米国は大国であり、違う地域に対して、違うロジック(論理)で政策を進められる。

 北朝鮮に対しては、米国は中国に過剰に期待しています。しかし、中国が制裁をしても、北にどういう効果をもたらすかは、よく考えなければならない。

 北朝鮮は、インドやパキスタンのように(核拡散防止条約に加入していない)「核敷居国」として、国際的に認められるかの前段階にあります。

 (米国の)北朝鮮への攻撃の可能性ですが、核を持っている国を先制攻撃した事例はない。現状では、北朝鮮を攻撃することはないと思います。