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熊本地震1年 農業再起へ内田農場、IT農法で販路拡大

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熊本地震1年 農業再起へ内田農場、IT農法で販路拡大

農業の復興を目指す内田智也氏 農業の復興を目指す内田智也氏

 昨年4月の熊本地震は、熊本県の農業も直撃した。農業被害額は昨年末時点で1200億円以上に達した。被災農家が復旧に追われる中、品質向上や販路拡大に向けた攻めの動きも出ている。

 「何とかお米を届けなければ」。農業生産法人「内田農場」(熊本県阿蘇市)代表取締役の内田智也氏(32)は昨年4月、田んぼを前に、再開を誓った。阿蘇山の麓で酒米や業務用の米など15品種を作る。

 内田農場は計約60ヘクタールの約半分が、地割れや用水路損壊の被害を受けた。県内全体では阿蘇市や益城町を中心とする計約200ヘクタールで稲の作付けができず、約1千ヘクタールは国や県の補助を受け、大豆など水がほとんど必要のない作物に転換された。

 田植えの時期が迫る中、内田氏は他の農家と協力して、用水路の修復に取りかかった。それでも全体の3分の1に当たる約20ヘクタールは水を引くことができず、大豆に転換したり、栽培自体を断念した。地震から約2カ月後の豪雨では、田んぼに土砂が流れ込んだ。

 再起の支えの1つが、前年に導入した情報技術(IT)化だった。

 センサーで水位や水温を測り、データが腕時計型端末などに届く。情報端末に、田んぼごとの作業内容が示される。

 効率化に加え、データを蓄積し環境・作業内容と品質の関係を検証できる。地震後の収穫量は例年の3分の1にとどまったが、顧客の評判は良く例年より高値で取引された。

 内田氏は「元に戻す復旧から、より良くなる復興を目指したい」と語った。

 JA熊本中央会は地震後の昨年7月、県が約3年前に開発したイチゴ「ゆうべに」の栽培農家を担当する営農指導員に、生育状況を管理するタブレット端末を配った。

 復興支援の一環で農林中央金庫が資金援助し、端末は今では50台に上る。JA熊本中央会の担当者は「試験段階で手探り状態だが、他の作物にも応用したい」と期待をつなぐ。