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イルカも技術も輸出 和歌山・太地町立くじらの博物館 飼育、調教 中国から研修生6人

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イルカも技術も輸出 和歌山・太地町立くじらの博物館 飼育、調教 中国から研修生6人

 太地町の町立くじらの博物館で先月から中国人の研修生がイルカの調教訓練を受けている。日本動物園水族館協会(JAZA)から4施設が退会するなど、イルカの購入に対する理解が広がるなど日本では新たな動きが出ている。この研修は単にイルカを輸出するだけでなく、イルカのために技術も一緒に輸出しようという国内でも珍しい試み。成功すれば、“ビジネスモデル”としても注目されそうだ。(菊池昭光)

 研修を受けているのは、中国福建省から3月初旬に来日した20~30歳の女性2人、男性4人の計6人。

 昨夏、中国側から海をテーマにした複合的なレジャー施設を今年6月までに建設し、水族館も併設するためイルカの譲渡を打診された。中国は国土の面積に対して海岸線が短いため、中国人には海へのあこがれが強いといい、水族館建設がブームになっている。

 博物館側は14頭のバンドウイルカを譲渡することを快諾したところ、中国側は「レベルの高い日本の飼育技術を取り入れたい」と、飼育員の研修も要請してきた。

 くじらの博物館の桐畑哲雄副館長(57)によれば、イルカには個性があり、水槽や飼育員がまったく違うと戸惑うこともあるという。博物館の職員が中国に出向いて技術を伝達することも可能だが、むしろ留学して研修した方が効果的と判断、研修生の受け入れが決まった。

 研修生たちは1日3千円の研修費を払い、午前7時から夕方まで厳しいスケジュールをこなしている。主に、餌作りから始まり、動物の観察、イルカの飼育に取り組むクールを1日3回こなす。調子が悪くなったイルカの対応をしたり、いけすを移動させたりする突発的な仕事もある。宿泊施設に戻ると日本語の自習をするなど前向きだ。レジャー施設のオープンは6月から10月に延期されたため、少なくとも半年は研修が続く。

 ホテルの従業員だったという黄坤斌(ホアンクンビン)さん(24)は「海の知識とイルカの訓練技術を学びたい。日本の文化や言葉も勉強しています」と話した。

 桐畑副館長は「イルカの調教は簡単に学べるものではない。半年間の研修でベテランになるわけではないし、完璧な飼育というものもない。研修生には仕事への考え方も教えていきたい」と語る。今回の試みで良い結果が出れば、制度化することも視野に入れているという。