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特殊詐欺防止へ本腰 静岡県警、きょうから注意喚起人形貸し出し

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特殊詐欺防止へ本腰 静岡県警、きょうから注意喚起人形貸し出し

 多発する振り込め詐欺の被害に歯止めをかけようと、県警は電話の着信音に反応し、詐欺電話への注意を呼びかける人形「あんしんみーちゃん」を製作した。1日から、昨年振り込め詐欺被害が多かった伊豆、伊豆の国、袋井各市などの高齢者宅に4カ月間無料で貸し出し、効果を検証する。県内の信用金庫では、過去3年間現金自動預払機(ATM)で振り込み実績のない70歳以上を対象にATMでの振り込みができないようにする対策を既に実施しており、高齢者を食い物にする特殊詐欺の防止に向け、県内を挙げた取り組みが本格的にスタートする。

 ◆みーちゃんが見守り

 「あのね、『携帯番号が変わった』って言ったら詐欺ですよ~」「だまされたらみーちゃん悲しいな」

 1日からの本格貸し出しを前に袋井市の高齢者宅で行われた人形の設置デモンストレーション。固定電話の着信音が鳴ると、電話脇に置かれた女の子の人形が間髪を入れずに振り込め詐欺への注意を呼びかけた。

 この日、「みーちゃん」を設置した同市の戸塚靖次さん(76)は平成28年と27年に還付金詐欺の電話が自宅に掛かってきた経験を持つ。デモンストレーションを終え、「(「みーちゃん」は)愛着が持てるし、(詐欺電話に対し)気をつけようと思える」と今後の効果に期待を寄せた。

 「みーちゃん」は高さが約22センチ。付属のマイクを電話機のスピーカーに貼り付けることで着信音に反応してあらかじめ録音されていた女児の声が流れる。せりふは全部で5種類あり、女の子の声は4~5歳の子役を20人ほどオーディションして決めたという。

 4月から4カ月間の実証実験では約450世帯に無料で貸し出し、効果を検証する。担当者は「『みーちゃん』は民間企業が高齢者向けに販売している高さ約30センチの音声認識人形『おしゃべりみーちゃん』を固定電話の横に置けるようにコンパクト化して作った。7月ごろには一般販売するつもりで、価格は7千円程度を予定している」と話す。

 県警によると、昨年1年間の県内の特殊詐欺事件は件数(前年比17件増の332件)、被害金額(同約2千万円増の約9億2千万円)ともに前年より増加。中でもオレオレ詐欺は件数が170件(同11件増)、被害金額が3億2903万円(同3361万円増)で、特殊詐欺事件の中で件数では1位、金額では2位を占めている。

 県内では今年1月に三島信用金庫が過去3年以内にATMでキャッシュカードによる振り込みをしていない70歳以上の人を対象に、ATMからの振り込みを制限する取り組みを開始。3月1日には県内の他の11信金も同じ取り組みの実施で足並みをそろえた。振り込みを希望する場合は店舗窓口で手続きができ、預け入れや引き出しは従来通りATMを利用できる。

 ◆信金も対応策実施

 県信用金庫協会は「ATMは振り込め詐欺の入り口になることが多い。窓口でも多額の現金を下ろす場合は小切手で受け取ることを勧めるなどの対策を行っていきたい」と話す。

 今年に入ってからの県内の特殊詐欺事件は31日現在で前年同期比22件減の85件(被害金額は同1億1740万円減の1億9777万円)と、前年より減少している。ただ、オレオレ詐欺は同3件増の61件と増加しており、今年に入り、県内在住者を神奈川県など県外に誘導し、現金をだまし取る手口が急増しているという。

 捜査を警戒し、土地勘のある首都圏を現金の受け渡し場所に設定しているためとみられ、担当者は「詐欺の被害に遭うのは『自分は大丈夫』と対策を取っていない人が多い。家族が先回りして『みーちゃん』を設置するなどの配慮をしてほしい」と呼びかけている。