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SEからサイバー捜査官へ異色の転身 茨城県警・白土哲也警部補

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SEからサイバー捜査官へ異色の転身 茨城県警・白土哲也警部補

 各都道府県のサイバー捜査官が能力を競い合う「サイバーセキュリティコンテスト」の全国大会で、県警が2位の好成績を収めた。県警の代表チームでリーダーを務めた白土哲也警部補(38)は4年前、県内企業のシステムエンジニア(SE)から警察官に転身した“異色”の経歴を持つプロの捜査官。深刻化するサイバー犯罪への備えとは-。

 ◆契機は「遠隔操作」

 15年間勤めたソフトウエア開発企業の技術者から転身を決めたきっかけは、平成24年に起きた「遠隔操作ウイルス事件」だった。犯人が悪意のあるプログラムを使って他人のパソコン(PC)を遠隔操作し、ネット掲示板で無差別殺人を予告するなどした事件で、捜査当局は真犯人逮捕までに遠隔操作されたPCの持ち主ら4人を誤認逮捕する失態を演じた。

 開発したソフトウエアを守るため、事件発生の約5年前からサイバーセキュリティーの技能を培っていた白土警部補は「警察という組織で自分の技能を役立てられるのではないか」と感じた。友人の勧めもあり、同年、コンピューターの情報処理に関する有資格者を対象とした県警の「サイバー犯罪捜査官採用試験」を受験して合格。警察官として第一歩を踏み出した。

 しかし、がらりと変わった職場環境に戸惑いの連続だった。報告書作成の際、専門的なIT用語をどう説明するか悩むことが多かった。さらに、ソフトウエア開発は見積もりを立てて計画的に仕事を進めるが、警察業務は突発的な事件への対応が日常茶飯事だ。それでも「犯罪抑止の一助になりたい」という思いはぶれなかった。

 ◆地道な注意喚起

 現在、公安課サイバー攻撃特別捜査隊の一員として、サイバーテロなどの未然防止に力を注ぐ。仕事ぶりはPCを駆使した華麗なものかと思いきや、実際は「地道な仕事の積み重ね」という。電気、水道など重要なインフラ事業者のもとに足を運び、注意喚起するのが主な業務だ。「事件が起きてしまってからでは遅い。未然防止が大切だ」と意欲的に取り組んでいる。

 もちろん事件捜査には元SEの技術と経験が役に立つ。企業や研究機関のサーバーに外部から侵入された形跡があれば、数週間かけてサーバー内を分析し、侵入経路や目的を入念に調べる。

 31年の茨城国体や翌年の東京五輪・パラリンピックに向け、テロや海外発のサイバー攻撃への警備態勢の強化は喫緊の課題だ。白土警部補は「最近増えている巧妙な手口のサイバー犯罪への警戒を強めなくてはいけない」と警鐘を鳴らし、「身につけた技術を生かして県民の安心、安全に貢献し、捜査官の育成にも尽力したい」と力強く話す。(丸山将)