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【もう一筆】岩手 存在感衰えぬ竹バット

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【もう一筆】
岩手 存在感衰えぬ竹バット

 竹バットを握ったのは43年ぶりだった。1月27日、4年ぶりの選抜高校野球大会出場を決めた盛岡大付。その取材で練習場を訪ねたときのことだ。一面の雪景色だったグラウンドでは、スパイクを長靴に履き替えたナインが打撃練習に汗を流し、手には竹バットが握られていた。

 選手の一人に「懐かしいなあ。ちょっと握らせて」と頼んだら、快くグリップを差し出してくれた。1回、2回と素振りするうちに高校時代の記憶がよみがえった。当時の竹バットは重く、硬くて折れにくい代わりに飛距離が出ず、外野の間やライン際を抜く当たりが精いっぱいだった。

 その頃は金属バットの導入以前。折れにくくて安い竹バットを打撃練習や練習試合で愛用した。細かく割いた竹を接着した角材を削り出したバットは芯(スイートスポット)を外すと、手のひらがしびれた。慣れるのに3カ月ほどかかった。

 竹バットは1本8千円前後と値段も安い。1万5千円前後の木製バットや2万円を超える金属バットに比べ格安だ。バットの芯を覚える練習にも最適で、今も中学生から社会人まで広く利用されているという。

 43年ぶりの竹バット。改めてその存在感の大きさに驚いた。19日開幕した選抜高校野球。初めて盛岡大付と不来方(こずかた)の2校が出場する岩手県勢も甲子園で存在感を示してほしい。盛岡の地から期待している。(石田征広)