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なまこ壁を文化的拠点に 静岡・松崎町、依田家住宅を購入

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なまこ壁を文化的拠点に 静岡・松崎町、依田家住宅を購入

 松崎町が、町の伝統工法「なまこ壁」を使った代表的建造物で、県指定文化財の「依田家(よだけ)住宅」(同町大沢)を購入し、文化的拠点として整備していくことになった。購入費4870万円を含む平成28年度補正予算案が既に臨時町議会で可決されており、29年度当初予算案に利活用のための基本計画策定費など計約970万円を盛り込み、計画の具体化に乗り出す。

 白と黒の模様が特徴のなまこ壁は防火や保温を目的に、平瓦を斜め格子状に貼り付けてしっくいで塗り固めて造られている。温泉街と住宅街が混在する同町内にはなまこ壁の民家が多く、情緒豊かな街並みが形成されている。

 中でも、江戸時代に製糸業や回船業で栄えた依田家の手になる同住宅は、築300年以上で最も古いとされ、母屋と離れ、3つの蔵は全面なまこ壁で仕上げられている。昭和36年からは、依田家の親族が住宅を改装して「大沢温泉ホテル」として旅館業を営んできたが、経営難で平成26年6月に休業。その後競売にかけられ、NPO法人「伊豆学研究会」(伊豆の国市)などが27年9月に3200万円で落札していた。

 同研究会は建物の解体を防ぐ目的で一般から寄付を募り、別のNPO法人と共同で同住宅を購入したが、維持管理費が賄えず、昨年6月に町に購入を打診。同住宅の歴史的価値や近くにある道の駅「花の三聖苑伊豆松崎」と合わせた整備が可能な点などを考慮し、町が購入に踏み切った。

 道の駅「花の三聖苑伊豆松崎」は幕末~明治期に活躍した郷土の3聖人の業績を中心に松崎の歴史、文化を紹介する複合施設。3聖人には、明治期に民間初のフランス式製糸工場をつくった依田家出身の実業家、依田佐二平と、その弟で北海道・十勝平野に入植し「帯広開拓の父」と称された依田勉三が含まれており、町では道の駅と一体で同住宅を文化的拠点として整備していきたい考えだ。

 町に同住宅の購入を働きかけてきたNPO法人「伊豆学研究会」の橋本敬之理事長は「私たちがずっと持ち続けるのは不可能だった。町が購入することになり良かった」と話している。