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熊本・南関町、竹有効活用プロジェクト始動 タケノコのように急成長を

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熊本・南関町、竹有効活用プロジェクト始動 タケノコのように急成長を

竹で作った建材を手にするバンブーマテリアル社長の山田浩之氏(前列左から2人目)ら 竹で作った建材を手にするバンブーマテリアル社長の山田浩之氏(前列左から2人目)ら

 ■建材、エネルギー供給

 放置竹林による生態系の破壊など「竹害」が大きな問題となる中、熊本県南関町を拠点に、建材やエネルギー供給に竹を有効活用するプロジェクトが始まる。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)も支援し、厄介者の竹から、新たな地域産業と雇用の創出を目指す。

 プロジェクトは同県玉名市の建材卸「丸光グループ」と、熊本市南区の住宅販売「シアーズホーム」が中心になって取り組む。

 これまでに竹の収集とチップ加工を担う「バンブーフロンティア」と、チップから機能性ボードなど建材を製造・販売する「バンブーマテリアル」、そしてバイオマスエネルギー事業に取り組む「バンブーエナジー」の3社を設立した。

 ふくおかFG傘下の熊本、福岡両銀行が、マテリアル社とフロンティア社に計24億1400万円を融資する。福岡銀は官民ファンドを通じて、マテリアル社に4億円の出資もする。

 竹害は深刻化している。

 竹は繁殖力が非常に強い。1日で1メートル以上伸びた記録があるほど生育が速い上、地下茎でどんどん広がる。竹林が広がった結果、他の樹木が育たなくなる。また、地下茎は土中に浅く広がるため、崖崩れの危険性も高まるという。

 それでも工業化には課題の多い資材だった。

 スギやヒノキに比べ、伐採・収集システムが確立されておらず、一定量を安定して調達することが難しかった。内部が空洞なため、輸送や加工の効率が低く、燃料としても灰がボイラー内部に付着する課題があった。

 フロンティア社は、放置竹林対策に取り組む南関町の協力を得て、同町内にある約300ヘクタールの竹林所有者と、供給に関する協定を結んだ。自社で竹を伐採する。昨年11月、試験的な買い取りを始めた。

 熊本県の市町村や大分県日田市、福岡県八女市などとも材料調達で連携する。

 マテリアルとフロンティアの2社は今月、ふくおかFGの資金を元に、南関町で工場建設に着手する。建材製造の工場は鉄骨平屋建て約8400平方メートルで、10月以降に操業を開始する。

 竹は部位によって建材と燃料材に分けて使用する。竹から作る建材は強度や耐水性も十分で、大手専門商社や地場企業への販売ルートもすでに確立した。

 一方、バンブーエナジーは竹を燃やして熱と電力を供給する事業を進める。

 灰の課題なども、クリアの見込みが立ってきたという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託事業の採択を受けた。平成30年12月頃の操業開始を目指す。

 一連の事業により3年後に約40億円の売上高を見込み、約120人を新規雇用する。

 マテリアル社社長を兼任する丸光グループ統括最高責任者の山田浩之氏は、事業発表の記者会見で「天然資源を活用した持続可能な新たな産業に育てたい。竹害で困っている地域のモデルになるよう、きちんと成功させたい」と抱負を述べた。

 同席した南関町の佐藤安彦町長は「荒廃した竹林の再生を図るとともにタケノコ生産も盛んになればよい。新たな産業で雇用拡大と地域活性化へとつなげ地方創生の柱に成長させたい」と期待した。(谷田智恒)