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林横浜市長インタビュー 中期4か年計画、総仕上げを

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林横浜市長インタビュー 中期4か年計画、総仕上げを

 ■福祉や子育て…着実に進めた1年

 横浜市の林文子市長が産経新聞のインタビューに応じ、昨年の実績を振り返りつつ、今年の抱負を語った。話は、2020年東京五輪・パラリンピックの会場に横浜の拠点が選ばれるなどスポーツ面で多くの情報発信ができたこと、大口病院の異物混入殺人事件、福島からの避難者がいじめを受けていた問題に関連する行政対応の課題など多岐にわたり、今年は「『横浜市中期4か年計画』の総仕上げの年」と強調した。(那須慎一)

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 --昨年を振り返って

 「国内外からの横浜に対する信頼と期待を改めて実感した年だった。フランクフルト(独)やリマ(ペルー)、ナイロビ(ケニア)、台北(台湾)と、さまざまな都市を訪問し、都市の将来を見据え、一つ一つの課題に真摯(しんし)に向き合い、解決してきた市の努力と成果を高く評価していただいていることが分かった。また、市民の生活を守る福祉や医療、子育て、教育、防災、都市基盤整備などの施策を着実に進めることができた1年だった。子供の貧困や、いわゆる『ごみ屋敷』への対応など喫緊の課題にも柔軟に対応できた」

 --プロ野球・横浜DeNAベイスターズのクライマックスシリーズ(CS)進出や、五輪会場が野球・ソフトボールは横浜スタジアムに正式決定し、サッカーが横浜国際総合競技場を予定するなど、横浜から発信するスポーツの話題が豊富だった。改めてどう評価し、今後、どう取り組むか

 「ベイスターズのCS初進出は大変うれしかった。球場も入場者数が過去最高を記録し、周辺のにぎわいにも寄与していただいた。ベイスターズが良い実績を残してくれた横浜スタジアムも野球・ソフトボールの主会場として正式に決定し、光栄でうれしい。野球(の開催)に関しては、横浜、ひいては県内に球児が多く、盛んなため、若い方に夢を与えるのではないか。また、横浜国際総合競技場は、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)と2020年東京五輪・パラリンピックのサッカーの会場になる。横浜のさらなる成長につなげ、次世代を担う子供たちに引き継いでいってもらうためにも『オール横浜』でスポーツを振興し、『横浜シティプロモーション』も進め、必ず両大会を成功させたい」

 --大口病院の異物混入殺人事件をはじめ、福島からの避難者のいじめ問題など市内で全国的に影響を与える事件が相次ぎ、行政の対応の課題も浮き彫りになった。現状認識や今後の対応は

 「大口病院の事件は、本当に残念でならないし、亡くなられた方のことを思うと胸が痛い。市としては、市民の皆さまから寄せられる情報に対する適切な対応と再発防止に向けた取り組みが必要だと改めて考えている。これまでの市の対応を検証していただくために、保健医療や法律の専門家による第三者委員会『横浜市医療安全業務検証委員会』を設置した。課題や改善点を整理していただき、市として再発防止にしっかり取り組んでいく」

 「いじめ問題に関しては、第三者委員会がまとめた報告書で学校や市教育委員会に厳しい指摘をいただき、重く受け止めている。横浜市は全国に先駆けて児童支援専任教諭を全校に配置した。専任教諭が中心となって、学校カウンセラー、スクールソーシャルワーカーと連携したチームとしての支援体制を整えていたが、残念ながら十分に機能させることができなかった。市教委とともに、なぜこのようなことになり、対応が遅れたのか、再発防止をどうするか、しっかり検証していく」

 「私自身も現場の状況の聞き取りを行ったが、さらに聞いていきたい。教育長にも伝えたが、既成概念にとらわれず、今までの仕組みで良いかなど、今年度末までに再発防止策をまとめる。次世代を担う子供たちをしっかりと育むため、切れ目のない子育て支援、教育の環境と質の向上、そして、互いを認め合い尊重し合う社会の実現にも力を注ぐ」

 --カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法が成立した。市としても誘致に力が入るが、今後どう取り組むか

 「IR推進法が成立したことは、日本の経済活性化、観光立国の一歩になる。市として危惧しているのは、間違いなく人口減少と超高齢化社会に入っていくということ。市の人口は増え続けており平成31年がピークと予想しているが、その後は減少に転じ、当然ながら将来の働き手が減っていく。福祉や医療、子育て、教育は絶対に市民生活のために必要で、財政基盤の強化を図らなければならないが、残念ながら法人税収が少ない状況にある。私が就任してから法人税収は100億円強は増えているが、まだまだ厳しい」

 「横浜の港の景観の美しさだけでなく、海外のお客さまを呼ぶ手段として、IRは、(国際会議やイベントなどを行う)観光MICEや文化芸術の推進の面からも魅力的だ。そこに、世界最高水準の厳格な規制をしたカジノが入るのは、有力な手法と考えており、引き続き研究を進めるが、一方で懸念事項もある。市としても、きちっと市民に説明できるよう精査していきたい。地元経済界からはぜひ進めてほしいとの声があり、『オール横浜』でやっていく」

 --加速する高齢化対策は

 「高齢化に伴う医療・介護ニーズの高まりに対応するため、地域包括ケアシステムの構築や健康寿命日本一を目指した取り組みを推進し、障害のある方や、生活にお困りの方々への支援もしっかりと行っていきたい」

 --今年は市長選があるが

 「『横浜市中期4か年計画』の総仕上げの年となる。目標の達成に向けて全力を注ぎ、市民の皆さまとの約束を果たしていかなければならず、まだ選挙に考えがいたっていない。今の任期を全うすることに注力していく」

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【プロフィル】はやし・ふみこ

 昭和21年5月5日生まれ。都立青山高校卒業後、東洋レーヨン(現・東レ)、松下電器産業(現・パナソニック)などに勤務。ファーレン東京(現・フォルクスワーゲンジャパン販売)社長、ダイエー会長兼最高経営責任者(CEO)、東京日産自動車販売社長などを歴任。平成21年8月の市長選で初当選し、現在2期目。70歳。「共感する力」など著書も多数。