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【被災地を歩く】米国人写真家「一番大切なものを残す」 親子と故郷の記憶を撮る

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【被災地を歩く】
米国人写真家「一番大切なものを残す」 親子と故郷の記憶を撮る

 東京電力福島第1原発事故の被害で避難を強いられた12市町村を歩いて、故郷と家族の写真を撮影する活動「ふくしま『ふるさと写真の日』」が始まっている。両親や祖父母が生まれ育った避難地域(=ふるさと)で子や孫とともに写真を撮ることで、次世代に語り継いでいこうとしている。そんな取り組みの一つに同行した。

 昨年11月末、避難区域となっている福島県相馬市や飯舘村で撮影が行われた。撮影したのは、日本で「親子の写真」を34年間撮り続けている米国人写真家のブルース・オズボーンさん(66)。オズボーンさんは被写体となった人々に話を聞き、丁寧に撮影を進めていった。

 ブルースさんらは7月の第4日曜日を親と子について考える「親子の日」にしようと提唱し、全国で親子の写真を撮影している。

 震災直後には被災地でも親子の写真を撮影。平成25年、28年にある親子の写真を同じ場所で撮った。震災直後から変化する故郷と親子の様子を写真に残している。「ふくしま『ふるさと写真の日』」の実行委員会の丸岡一志さん(51)が親子の写真の福島版を作りたい、とブルースさんに依頼したのがきっかけだ。

 丸岡さんは「原発事故の避難が長引き、祖父母や両親の育った環境と子供たちの育っている環境が違い、故郷についての認識にもズレが出てきている。ふるさとで撮影することで次世代に語り継ぐコミュニケーションの一つとして、世代間でふるさとを継承してほしいと思った」と話す。

 ◆思い出深い場所

 丸岡さんとブルースさんは、住んでいた人たちの思い出の深い場所で、思いに寄り添った形で撮影したいと、撮影者の希望に添った形で撮影に臨んだ。

 飯舘村で撮影した11月末は雪がぱらつき、寒さも厳しいあいにくの天気だった。ブルースさんらが撮影したのは3組の家族。避難後に無人となり傷んだ家屋を取り壊し、更地となった場所などそれぞれの家族にとって思い出深い場所ばかりだ。

 避難先で生まれた子供と撮影する夫婦、家族同然に暮らしてきた友人とともに写真に収まる人もいた。震災、原発事故、避難から6年。みんながそれぞれに思いを抱き、写真撮影に臨んでいた。

 ブルースさんは「親子関係は一番大切で深い関係。そして故郷も。震災後に避難する人たちの姿を見て改めて実感した。家族と故郷は一番大切でベーシックなもの」と話す。

 ◆東京で写真展

 12組の親子の写真を撮影した写真展を、1月下旬から東京都の「GLOCAL CAFE」(港区北青山)で開催する。また、2月7~12日は福島県郡山市の福島コトひらくで、2月21~26日は福島市のコラッセふくしまでも写真展を開催する。

 ブルースさんは「故郷で、親子で過ごした大切な時間を忘れないでほしい。写真を見ていつでも思い出してほしい」と話している。(大渡美咲)