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あすから北朝鮮人権侵害問題啓発週間 失踪関係者の再調査に期待 静岡

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あすから北朝鮮人権侵害問題啓発週間 失踪関係者の再調査に期待 静岡

 「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」が10日から始まる。県警は16日までの期間中、街頭でチラシを配布するなどして、北朝鮮によって拉致された可能性が排除できない本県関係の11人について安否情報の収集を進める。ただ今年2月には北朝鮮がいったんは約束した特定失踪者を含む拉致被害者の再調査の中止を表明するなど、問題解決に向けた道のりは険しさを増している。

 ◆県内で11人

 県警が安否情報の収集を進めるのは県内出身者のほか、県内に在住歴があったり、県内で失踪した疑いが持たれている11人。このうち、特に特定失踪者問題調査会が「拉致の可能性が濃厚」としているのが、昭和44年に沼津市のキャンプ場で行方不明となった大屋敷正行さん=失踪当時(16)=▽平成3年に同市内の自宅を出たまま行方が分からなくなった橘邦彦さん=同(19)=▽袋井市出身で6年に沖縄県石垣市で失踪した富川久子さん=同(35)=の3人だ。

 県警では25年以降、啓発週間に情報提供を呼びかける活動を続けているが、最も古い事案では発生から既に半世紀以上が経過している。最も新しい事案でも10年以上前のもので、これまでのところ真相究明につながるような情報はほとんど得られていないのが実情だ。啓発週間に向け、県警外事課の森下康弘次席は「ささいなことでも、どんな情報でもいいから提供してほしい」と呼びかけている。

 同問題をめぐる政治情勢も厳しさを増している。安倍政権の下で、北朝鮮が拉致被害者の再調査を約束した26年5月には問題解決への期待も高まったが、北朝鮮は今年2月に調査の全面中止を表明。親族との再開を心待ちにしてきた被害者家族らは一気に奈落の底に突き落とされる格好となった。

 ◆一刻も早く

 拉致の可能性が濃厚とされた橘邦彦さんの母の橘智子さんは産経新聞の取材に「今年再調査が中止になり、息子がまた遠のいた。啓発週間が再調査につながるきっかけになってほしい」と切々と語った。同じく拉致の疑いが濃厚な大屋敷正行さんの姉、山口幸子さんは「ここ数年は足腰が悪くなり、体操教室に通い始めた。行方不明になってから40年くらいたっており、一度だけでも会いたい」と漏らした。

 県内で拉致被害者家族の支援活動に取り組む「浜松ブルーリボンの会」の石川博之代表は「月に1度署名活動をしているが、署名が増えにくくなっているのが現状だ。(高齢化が進む)ご家族の体力面を考えても、現政権のうちに問題を解決してほしい」と話している。